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秋は鉄道イベントの季節 そこにある2つの意味杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/5 ページ)

9月から11月にかけて、鉄道会社主催のイベントが増える。全国各地から鉄道ファンが訪れ、沿線の人々も遊びに来る。なぜ鉄道会社はイベントを開催するか。そして来場者はそこでどう楽しみ、何を学べきか。

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鉄道会社がファンサービスをしやすくなった

 では、なぜ鉄道会社は赤字のイベントを実施するのだろうか。理由の1つは「ファンサービス」。もう1つは「地域貢献」だ。

 ファンサービスは、鉄道ファンの欲求に応えること。鉄道は事業の対象がファンではない、という構造になっている。鉄道会社のお客さまは鉄道ファンではない。通勤や通学、旅行などの用事で乗ってくれる人だ。あるいは貨物の荷主である。鉄道ファンのために走っているわけではない。写真を撮りたいからもう少し停まっていてくれと言っても待ってくれないし、職員に話し掛ければ業務妨害となる。

 鉄道ファンは鉄道に近づきたいけれど、鉄道はそれを歓迎しない。でも、鉄道会社も職員も、鉄道ファンを大切に思っている。だから年に何回か、限られた日だけはファンの欲求を満足させてあげたい。今までは個々の社員が臨機応変にファン対応をしてきた。しかしそれは本来の業務ではないから、正々堂々とできなかった。国が鉄道の日を制定してくれたおかげで、鉄道会社はファンサービスをやりやすくなった。

 今ではグッズについては通年販売する会社も多いし、車両基地公開も春の大型連休や夏休みなども行われている。鉄道会社のファンサービスが増えていて、とても喜ばしいことだ。こうした動きは鉄道の日制定以降に増えている。

東武鉄道南栗橋車両管区の一般公開。車両から離れて規制ロープがあり、一度に多くの人が撮影できる
東武鉄道南栗橋車両管区の一般公開。車両から離れて規制ロープがあり、一度に多くの人が撮影できる

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