就活が大学生活の妨げになる本当の理由(2/2 ページ)
今シーズン、日本経団連が就職活動の開始時期を遅らせたが、うまくいかなかった。また就活スケジュールの変更が議論されるだろうが、何十年も前の就職協定の時代から振り返ってみれば明らかなように、時期をどうにかすれば解決する問題ではないのだ。
したがって解決策は、2つ考えられる。
1つ目は、正社員と非正規社員の処遇格差を小さくする(なくしていく)ことだ。正社員の持つ既得権を見直すとともに非正規社員の処遇を改善し、例えば、仕事のできや能力に応じて賃金が決まる「同一労働・同一賃金」を法制化し、広く浸透させる。そうすれば、卒業時に正社員として就職したほうが得というインセンティブが小さくなるから、大学生活に専念しようとする学生は増えるはずである。
もう1つは、雇用の流動化を進めることだ。現状は、特に正社員にとって退社・転職のリスクが高すぎるので雇用が固定化してしまい、企業も個人も活力を失いがちである。学生だってそのリスクを認識しているから、最初に入社する会社の選択に必死にならざるを得ない。能力や適性やキャリア、あるいはそれぞれの事情に応じた転職情報が豊富に提供され、マッチングが行われる大きな労働市場を作る。同時に、解雇の金銭解決ルールの整備、定年退職制度の禁止などで、企業による人材の囲い込みや労働者の会社へのしがみつきを減らしていく。失業期間が生じた場合の保障や教育訓練も整備する。そうして、学生たちが将来的に前向きな転職、転職によるキャリアアップが可能だと思えれば、新卒のときの会社選びに今ほど必死にならなくてもよい。
要するに、就職活動のスケジュールやルールを変えても何の効果もなく、雇用制度改革を進めない限り、就職活動(採用活動)が学生の学業や大学での諸活動の邪魔をし続けるのである。
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