日本初の試み、新宇宙ビジネスカンファレンスに込めた思い:宇宙ビジネスの新潮流(2/4 ページ)
10月末、日本で初めて民間による新宇宙ビジネスイベントが開催された。筆者は発起人の一人として企画委員会代表を務めたわけだが、なぜ日本での開催にこだわったのか、その背景をお伝えしたい。
日本にも民間宇宙ビジネスの土台を作りたい
SPACETIDE 2015は、副題に“A conference for the rise of private space industry”とあるように、今世界の宇宙産業で進むパラダイムシフトと、新たな民間宇宙ビジネスの可能性を広く社会に伝えていくことが企画の原点だ。そして、将来的な新事業や新サービスの創出を加速し、日本そして世界における産業発展を促していきたいという思いが込められている。
本連載コラムでもこれまでお伝えしてきたように、今世界の宇宙産業は大転換期にあり、宇宙の多極化と民間宇宙ビジネスの興隆が進んでいる。特に民間宇宙ビジネスに関しては、米国を中心として法整備や商業化政策が進み、2000年以降に米SpaceXに代表されるベンチャー企業(関連記事)、シリコンバレーのベンチャーキャピタル、IT大手の米Googleや通信大手の米Qualcommなどの異業種参入が相次いでいる。
衛星インターネット、衛星ビッグデータ、小型ロケット、月面ロボット探査、宇宙旅行、スペースポート、小惑星資源探査など多様なビジョンが掲げられ、もはや一過性のブームから、新旧プレイヤーが奏で合う大きな潮流(TIDE)になりつつある。
筆者自身、米XPRIZE foundationが主催する月面無人探査レースに、日本から参戦する「HAKUTO(ハクト)」のプロボノメンバーとしても活動している(関連記事)。その活動を通して、世界各国から参戦する16の宇宙ベンチャーや起業家と交流してきたが、世界ではこんなにも民間宇宙ビジネスが盛り上がっており、そこに人生をかける起業家が多数いることに驚く日々の連続だ。
そして日本でも多くの宇宙ベンチャーが既に誕生しており、著名投資家が投資を行い、異業種の参入も始まっている。しかし、日本では世界の潮流も足元の盛り上がりも、まだ社会認知は十分ではなく、個々の活動が点としてバラバラに存在する状況だ。点と点を繋げ、面とすることで、産業のプラットフォームとなる場を作りたい。そして民間宇宙ビジネスにより多くのヒト・モノ・カネが集まり、産業発展を促したい。これこそがSPACETIDE 2015を立ち上げる原点だった。
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