コネクテッドカーの明るい未来(3/6 ページ)
昨今、コネクテッドカー、自動運転車が騒がれている。これらの技術によって自動車メーカー、サプライヤーのビジネスモデルは大きく変わる可能性が高い。単に技術があるから開発するのではなく、顧客に対して持続的に価値を提供して、自社を選択してもらうためには何をどこまで提供するのか。そのためには、どのようなケイパビリティ、ビジネスモデルが必要なのだろうか。
6つの技術カテゴリー
将来、コネクテッドカーがどのようなものになるかについての理解を深めるために、関連技術を6つに分類し、それらの技術的および商業的展望についてより綿密に検討した(図表2参照)。
走行管理
このカテゴリーには、妥当なコストと最適の燃費で、ドライバーが迅速かつ安全に目的地に到達できるようにするさまざまなシステムが含まれる。現在の車でも、既に車載ナビシステムによってリアルタイム交通情報にアクセスし、交通渋滞を避けるために自動的に別のルートに切り替えたり、低価格のガソリンスタンドや駐車場情報をドライバーに提供することはできている。今後数年間で、ドライバーは、高速道路の警告およびメッセージにもアクセスできるようになり、ナビシステムは、その時々の交通状況に応じて、最も燃費の良いルートを選定できるようになるだろう。
こうした効率性は、世界が都市化するにつれて、さらに重要になり、かつ一般的になる。例えば、GPS装置メーカーのTomTomによると、モスクワのドライバーたちは、現在、他の都市に比べて交通渋滞に多くの時間を取られており、年平均127時間も渋滞にはまって身動きできない状態にある。また、都市化という喫緊の課題に直面している中国は2020年までに走行管理関連の最大の市場になると予測されている。
これらのシステムに必要な技術的条件のほとんど、特にリアルタイムの車載ナビと関連製品は既に利用可能であり、輸送管理のために必要なツールも間もなく利用できるようになるだろう。市場への浸透は2015年まで大幅に増加するものの、現時点で技術は既に広く利用されているため、それ以降の2020年までの成長率は年平均9%に鈍化していくと我々は見ている。
車輌管理
このカテゴリーには、ランニングコストの削減、遠隔操作によるロックの解除や始動、車両の状態に関する情報の遠隔管理、サービスのスケジューリングと更新、運転状況に関するデータの保険会社などへの自動転送等々、使い勝手や整備しやすさの向上を支援する、さまざまな機能が含まれる。
これらの多くは、レンタカー業者やカーシェアリング業者はもちろんのこと、社用車およびサービス車などを多数保有している企業にとっても非常に役に立つ。ドイツだけでも約160万の事業者が、約400万台の車輛を保有する。上位10事業者は3000台以上保有しており、新技術によって大幅に効率性の向上を期待できるため、コストの観点で特に魅力的と言えよう。必要な技術の多くは既に確立されており、この分野の全世界の売上高は、2020年までに3倍になると思われる。
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