コネクテッドカーの明るい未来(4/6 ページ)
昨今、コネクテッドカー、自動運転車が騒がれている。これらの技術によって自動車メーカー、サプライヤーのビジネスモデルは大きく変わる可能性が高い。単に技術があるから開発するのではなく、顧客に対して持続的に価値を提供して、自社を選択してもらうためには何をどこまで提供するのか。そのためには、どのようなケイパビリティ、ビジネスモデルが必要なのだろうか。
ウェルビーイング
ウェルビーイングとは、ドライバーに快適性および安全性を提供する機能である。快適性には室温・音楽操作も含み、安全性には車載カメラでドライバー画像を把握し、過労状態にある場合に警告を出すという疲労検出機能も含まれる。また、今後は心拍数などドライバーの生体機能を監視し、問題を本人に事前に警告するシステムも実現されるだろう。
若いドライバーの数が減少しているのとは対照的に、高齢の裕福なドライバーは急速に増加しているため、この領域は自動車メーカーにとって特に魅力的であり、関連製品は、今後ますます増加するだろう。この分野は2015〜2020年の間に年平均35%成長し、最大の市場は米国になると予測される。
エンターテインメント
1930年のモトローラによるカーラジオ発明以来、エンターテインメント機能は、ほぼ全ての車で必須のものとなっている。現在の車には、スマートフォン・インタフェース、無線LANのホットスポット、SNSへのアクセス、インターネット上の音楽・ビデオ、並びに、音声認識により操作するモバイルオフィス機能等々、幅広い機能が装備されている。
車載エンターテインメント機能はアジアで特に人気があり、中国は2020年まで最大の市場であり続けるだろう。しかし中国では、家電業界のアフターマーケット・サプライヤーとの競争によって生じる価格圧力が発生するため年平均18%の成長にとどまり、他の領域ほどには成長しないだろう。
安全性向上
安全性向上の技術には、車内の自律的衝突保護および非常時通報機能(例:欧州におけるeCallシステム)のほか、悪天候や道路状況等の危険をドライバーに警告する機能が含まれる。これらの技術の中には、危険の警告や衝突保護など既に利用可能なものもあるが、今後さらに高度化していく。市場規模は年平均28%で成長して、2020年までに300億ユーロ(約4兆円)に達し、米国が最大の市場であり続けるとみられる。
運転支援
運転支援機能には、車の性能の向上、または運転の一部を任せられる技術が含まれる。自動駐車、自動操縦、自動ブレーキ、渋滞における追従機能は、既に利用可能となっている。
この領域の技術は急速に発展している。車輌同士が一定の距離を自動的に維持する、いわゆるロードトレインの形式で、高速道路上で自動運転する機能は、2017年には広く利用可能になるだろう。2020年までには、ドライバーの監視や介入すら、全く必要なくなる可能性もある。この分野の市場規模は年平均40%で成長し、最大市場は中国となるとみられる。しかし、関連する法規制はまだ方向性が見えないため、特に自動運転に関しての潜在的な障害となっている。
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