再び自宅で起業、2回目の挑戦だからこそのこだわりとは?:経沢香保子の「ベンチャー魂は消えない」(4/6 ページ)
2度目の起業を決めた私は、同じ思いを共有できる創業メンバーの募集を始めた。そこで思ってもみなかったことが次々と起きたのだ。
ガレージベンチャーのようなスタート
募集開始から1カ月も経たないうちに、あっという間に創業メンバーが揃った。けれども、皆で集まって働く場所がなかった。
一日も早く事業をスタートしたかったので、とりあえず私の自宅にメンバーが集まることにした。急遽、合鍵をたくさん作って、毎日皆が出社して、事業の構想を練り始めることにした。
創業メンバーは、思いは込めたが具体性のない募集記事を見て、集まってきてくれた勇者だった。自分で行間を読み、何かを感じ取り、一緒に挑戦するためにやってきてくれた。いい意味での個性派ぞろいだった。
「ああ、ベンチャーマインドとはこういうことだった」と、10年ぶりくらいに感じ、私の心にもさらに火がついた。
自宅でのスタートだったため、まかない飯を作ったり、たこ焼きパーティをしたりと、まさにガレージベンチャーのような特殊な環境でメンバーの絆を深めた。
同時に、オフィス探しも始めた。人が集まりやすい、便利な場所で、会議室よりも木のぬくもりがあるようなカフェスペースがあって、全体的にオーガニックな雰囲気にしたい。イメージは膨らむ。
もちろん、できる限り節約したかったので、定期借地の家賃が安いオフィスにして、自らIKEAで机や椅子を購入してオフィス家具を揃えた。
やっとオフィス移転日が決まって、自宅で仕事をした最終日には、メンバーから手紙とプレゼントをもらった。「社長の自宅スタートなんて、ベンチャーらしくて楽しかったです。ありがとうございました」。心が温かくなった。
そして翌日、新オフィスに引越するとびっくりした。まるでお花畑のように移転祝いの花で埋め尽くされている。運んでくるお花屋さんも「何事ですか?」と聞いてくるぐらいだ。
まだサービスも出してない、何もないカラーズだったが、応援してくれる皆さんの温かい気持ちが溢れていた。それが私たちの新しい挑戦への決意をますます強固なものにしてくれた。
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