理想のベビーシッターサービスって何だろう?:経沢香保子の「ベンチャー魂は消えない」(2/8 ページ)
「ベビーシッター文化を日本にも広めたい」――。やりたいことは明確に決まっているのだけど、そのイメージを具体的なサービスに落とし込むのは並大抵ではない。私たちのサービスはどのようにして生まれたのだろうか。
低価格にこだわった
だから、どんなときでも、思い立ったらすぐに頼めるよう、お客さまの会員登録は、すべてオンラインで完結させた。お急ぎであれば、その旨申請していただくと、優先的に確認して最短10分で審査を完了させ、利用開始できるように工夫を凝らした。
そして、たくさんの方々に、気軽に使ってもらえるよう、料金はできるだけ安くしよう決めていた。なので、登録料や月会費は取らず、1時間から利用いただいた分だけの請求にした。
ただ、人が提供するサービスなので、ベビーシッターさんが満足して働き続ける給与を支払おうと決めていた。何よりも、クオリティーが重要だ。
そもそもニーズとクオリティーで価格は決まるべきであり、それが働く人にとっての正当な評価だ。シッターさんだって同様だ。なので、時給は、シッターさんの希望額を登録してもらうことにした。そして、随時変更できるシステムを採用した。
現在、キッズラインに登録するシッターさんは時給1000円〜1500円の価格帯が一番多い。人気が出始めると、価格を上げるシッターさんもいる。
通常のベビーシッターサービス会社は、入会金が5万円以上で月会費もかかる。利用は1時間あたり2500円以上で、最低3時間利用からとするところが多い。でも、実際には、登録するシッターさんは時給1000円〜1500円程度が相場だ。
もちろん、そうした会社は長年蓄積されたノウハウがあるから、その分、登録するシッターさんにとっても、利用者側にも魅力はもちろんあると思う。
ただ、私たちは、シッター利用のハードルを下げるために「リーズナブル」であることはこだわった。プロセスを徹底的にIT化することによって、中間マージンコストを限界まで下げることに挑戦しようと考えたのである。
そこで、会員であるお客さまから10パーセント、シッターさんから10パーセントの利用手数料をいただくことにした。この概念は、CtoCのサービスだから、シェアリングエコノミーの経済圏として上手に成立させたいとの思いからだ。
いただいた手数料から、いざというときの3億円の保険加入料と、カード手数料、システム運営費、採用や研修費用を私たちが負担している。
関連記事
- 再び自宅で起業、2回目の挑戦だからこそのこだわりとは?
2度目の起業を決めた私は、同じ思いを共有できる創業メンバーの募集を始めた。そこで思ってもみなかったことが次々と起きたのだ。 - 自ら上場させた会社を辞め、2度目の起業を決意するまで
26歳で初めて創業した会社のビジネスが軌道に乗り、30歳で結婚し、3人の子どもの出産、そして上場。公私ともに順風満帆だった私を、ある日突然、悲劇が襲いました。「何とかするしかない!」。そう心に誓って、困難に立ち向かっていったわけですが……。 - 誰が、次のイーロン・マスクになれるのか
世の中には、先天的にきわめて高い能力を持っている天才児がいる。そんな子どもが、物理学と経営学を学び、1週間100時間のハードワークをこなし、「人類を救う」強い意志を持っていたら、どうなるか。イーロン・マスクになる。 - あなたの会社は? トヨタが踏み切る「配偶者手当の廃止・子ども手当4倍」
トヨタ自動車が配偶者手当を廃止し、子ども手当を4倍に引き上げることで労組と大筋合意したという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.