理想のベビーシッターサービスって何だろう?:経沢香保子の「ベンチャー魂は消えない」(6/8 ページ)
「ベビーシッター文化を日本にも広めたい」――。やりたいことは明確に決まっているのだけど、そのイメージを具体的なサービスに落とし込むのは並大抵ではない。私たちのサービスはどのようにして生まれたのだろうか。
保育士の地位向上を目指して
日本では保育士不足が叫ばれている。保育士にとっては、保育園などの施設で働き続けることは、低賃金、重労働のため過酷なのが現状だ。通常の保育時間以外にも、多くの親御さんとのやり取りも気を遣うし、家で書類作成の仕事をしたりしてる場合もあるという。人間関係の煩わしさなどで、長期間働き続けるのが難しい環境だから、結婚、出産でほとんどの保育士が辞めてしまう。
そういった働く環境の悪さが、もし、保育の質の低下を招くとしたら、子どもにとっても良くない。
保育士の資格を持っているが、働いていないという、いわゆる「潜在保育士」は全国に60万人以上いると言われている。保育園の増設が追いつかないのは、保育者が足りないからで、潜在保育士の掘り起こしがキーになる、など、新聞をにぎわしている。しかし、実際には「時間や給与等の勤務条件が合わないから働きたくとも働けない」というのが理由だ。
だから、私たちは、好きな時間に好きな時給で働けるということにこだわった。せっかく持っている保育士のスキルは、現代の多くの家庭で必要とされているはずだ。そして、一対一の育児を通じて、子どもの感性を引き出す育児を、個々のご家庭の方針に合わせた理想の育児を追求したい。
潜在保育士のみならず、元看護師なども同様だと考えている。ベビーシッターとして活躍できる経験やスキルはあるにもかかわらず、それを生かせず、評価されにくい状況はもったいない。
なので、私たちは、そんな方々にスポットライトを当て、活躍してほしいと、看護師ネットワークを持つMRTと業務提携したり、保育資格保有者向けに、「あたらしい働き方セミナー」を実施したりと、さまざまな取り組みを行っている。
実際に、保育士から、ベビーシッターに転向して、「働く時間は減ったけれども、月収は7万円アップした」「結婚を機に保育園を辞めたけれども、好きな時間に好きな仕事を続けられて嬉しい」などの声が届いて、手応えを感じている。
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