理想のベビーシッターサービスって何だろう?:経沢香保子の「ベンチャー魂は消えない」(7/8 ページ)
「ベビーシッター文化を日本にも広めたい」――。やりたいことは明確に決まっているのだけど、そのイメージを具体的なサービスに落とし込むのは並大抵ではない。私たちのサービスはどのようにして生まれたのだろうか。
女子大生パワーでもっと女性活躍の場を
ある日、当社のママスタッフが言った。
「社長、女子大生のベビーシッターネットワーク作りたいんです」
実は、私自身は最初ピンとこなかった。
「育児経験がない女子大生がベビーシッターって、ご家庭に受け入れられるかな?」
でも、米国ではベビーシッターは女子大生の人気アルバイトだ。そして、これから先の日本も、育児と仕事を両立する割合の方が高まっていく傾向だ。先の見えない中、多くの女子大生がワークライフバランスに悩んでいる。
確かに、前職時代の新卒採用では、毎年女子大生の応募が2万人近くあった。ロールモデルが不在で、どうしたら両立できるか悩む女子大生たちが「女性社長の下なら」「女性が活躍する会社なら」という理由でのエントリーも多かった。
「そうか、女子大生が、ワーキングマザーを助けることで、将来の両立イメージもつきやすくなる」
「キッズラインは対象年齢が0歳から12歳だから、本人のスキルに合わせて、2歳以上とか小学生対象とか、システムでソートもかけれる。家庭教師ニーズもありそうだ」
「では、女子大生に育児スキルの研修をして、女性同士が支え合える循環サイクルを創ろう」
そんな発想で、女子大生を対象としたベビーシッター講座を開講してみた(リンク)。
これが、私たちの予想を超えて応募が殺到した。第1期、第2期ともに各100人の定員がすぐに埋まった。女子大生はITスキルも高く、ソーシャルの拡散も早かったから、口コミで広まった。
実際に私も講座冒頭で挨拶をさせてもらったが、女子大生の意識がとても高いのを肌で感じたし、何よりも驚いたのは、「海外留学中にベビーシッターのバイトをしていました。だから日本でもやりたいと思ってました」という経験者が多かったこと。
現在、東大(5人)、慶應義塾(6人)、早稲田(3人)、上智(10人)、中央(9人)、立教(5人)、青山学院(3人)、明治(3人)など、東京六大学を中心に約100人の女子大生がキッズラインでベビーシッターとして活躍している。
驚くことに、親御さんからのニーズがとっても高かった。保育のみならず、バイリンガル教育、家庭教師などもできるので、仕事と育児を両立するご家庭が習いごとの送迎などが難しいという問題を一気に解決してくれるというのがその主な理由だった。
「日本にベビーシッター文化を」
それを創り上げるには、できるだけ多くの人に世代を超えて参加してほしい。
私たちは、あらゆるアイディアをしぼって、地道に新しい取り組みを模索しながら、日本にもベビーシッター文化を広めていこうと、道なき道を探し続けている。
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