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「下流老人」「老後破産」報道の正しい受け取り方:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
「下流老人」「老後破産」といった言葉をよく目にするが、こうしたネガティブなワードを私たちはどのように受け止めればいいのか。筆者の窪田氏は……。
「次」はどんな言葉がでてくるのか
とはいえ、現時点では『WEDGE』が主張するように、「下流老人」も「老後破産」も「ノストラダムスの大予言」的な社会不安を増長させているだけという事実は否めない。つまり、「下流老人」という現象を知らしめたという意味では大成功を収めたものの、「富の再分配」という世論喚起までは残念ながら結びついていないのだ。
となれば当然、「次」が予想される。
藤田氏はもちろん、「富の再分配」「格差是正」などの政策提言を行う方たちが新たなキャッチコピーをつくり、社会を揺らしてくるのは間違いない。果たして「下流老人」や「老後難民」よりもインパクトの強い言葉がでてくるのか。あるいは、まったく別の角度からくるのか。
皆目見当もつかないが、できることなら暗い世の中に少しでも灯りをともすような「世論形成」をお願いしたい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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