ブルーボトルコーヒー、この1年をすべて振り返る:水曜インタビュー劇場(カフェ公演)(4/7 ページ)
米国発のカフェ「ブルーボトルコーヒー」が、日本に上陸して1年が経った。オープン当初は行列ができていたが、なぜ多くの人は一杯のコーヒーを求めて何時間も並んだのか。同社の井川取締役に分析してもらったところ……。
本社とのコミュニケーション
井川: こちらから「こういうことが起きると、こうなるんですよ」と伝えることにしました。雨が降ってから「こうなりますよ」と伝えるのではなく、事前に「○○日は雨が降りそうなので、お客さんの数が減るかもしれません」と。本社で働く人たちの期待値をコントロールすることで、日本での仕事を任せてもらうような関係性をつくっていくことにしました。
冷静になれば理解してもらえることだと思うんですよ。米国と日本では、カルチャーも違う、お客さんの動向も違う、ビジネスのあり方も違う、認知のされ方も違う、とらえ方も違う――。さまざまなことが「違う」ことを分かっているはずなのに、海外初出店ということで、不安な気持ちが増幅したのかもしれません。例えば、SNSでちょっとネガティブなコメントを見つけると、「一体、日本で何が起きているんだ? 本当に大丈夫か?」といった連絡がきていました。
土肥: 遠く離れれば離れるほど、人間って不安心理が増すのかもしれません。地方で生まれ育ったのに、東京の大学に入学することになった。ひとり暮らしが始まるわけですが、親は不安を感じる。「ちゃんとメシは食っているのか」と。では東京でなく、米国のニューヨークだったらどうか。親はより不安を感じるのではないでしょうか。「ちゃんとメシは食っているのか」「治安は大丈夫なのか」と。
井川: 不確定要素が多くなると、人間って不安を感じるのではないでしょうか。例えば、日本語を読めない。何を書いているのか分からないので、何が起きているのかが分からない。そうした人たちとうまく仕事をするのにはどうすればいいのか。繰り返しになりますが、不安心理を取り除くことから始めました。安心材料を事前にどんどん伝えることで、信頼関係を築くことにチカラを入れました。
土肥: いまはどうですか?
井川: かなり自由にやらせてもらっています。
土肥: ふむ。外資系の会社で働く人たちを取材しても「本国の了解を得ていないので……具体的なことは話せないんです」といったケースが多いんですよ。でも、井川さんは違う。昨年バタバタしていたときに何が起きていたのかが、よーく分かりました。「はっ、しゃべりすぎたかも」と思わないでくださいね(笑)。
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