ブルーボトルコーヒー、この1年をすべて振り返る:水曜インタビュー劇場(カフェ公演)(5/7 ページ)
米国発のカフェ「ブルーボトルコーヒー」が、日本に上陸して1年が経った。オープン当初は行列ができていたが、なぜ多くの人は一杯のコーヒーを求めて何時間も並んだのか。同社の井川取締役に分析してもらったところ……。
行列ができた理由
土肥: では、次の質問。オープン後もしばらく行列ができていましたが、その要因はどこにあると思いますか?
井川: うーん……いわゆる海外からやって来た“上陸系”の店って行列ができることが多いですよね。話題になるので、「上陸系は行列ができやすい」のではないでしょうか。そうした状況の中で、当社は「コーヒー」を扱っていることが大きかったと思います。多くの人はコーヒーが好きですし、身近なモノですしね。
次に、創業者が日本の喫茶店に影響を受けたことも大きかったのではないでしょうか。「米国から新しいカフェがやって来た」といった形ではなく、「日本で生まれた喫茶店がアメリカナイズされて、再上陸した」などと報じていただきました。同じ“上陸系”でも、他のブランドとの違いがあったのかもしれません。
最後に、一号店の出店場所が「清澄白河」だったことも大きかったのではないでしょうか。清澄白河という土地の名前は聞いたことがあっても、行ったことがなかった人にとっては「どういったところなの?」と興味をもたれたのかもしれません。
土肥: ワタクシも「店は駅前にあるのかなあ」と思ったら、徒歩10分くらいのところにある。しかも、住宅地をてくてくと歩いて、「米国からやって来たオシャレなカフェが、ほんまにこんな所にあるんかいな?」と思いましたよ(清澄白河のみなさま、すいません)。
理由のひとつに「“上陸系”の店は行列ができやすい」と話されましたが、生活者の受け止め方はそろそろ変化してきているのではないでしょうか。
井川: どういう意味でしょうか?
土肥: 2015年に上陸した店を調べると、ブルーボトルコーヒーのほかに、メキシカンのファストフード店「タコベル」、ニューヨーク発のハンバーガー「シェイク シャック」、台湾で人気のかき氷「アイスモンスター」などがあるんですよ。詳しく書いていたら、1ページでは足りないくらい。「また上陸系がやって来た、一度はその店に行ってみよう」「また上陸系がやって来た、一度はその店に行ってみよう」となれば“上陸疲れ”するのではないでしょうか。いや、実際に「上陸」という言葉に、新鮮さを感じられなくなってきている人が増えてきていると思うんですよ。
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