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セブン-イレブンの鈴木会長が自らドーナツを試食するホントの理由:すごい差別化戦略(2/4 ページ)
コーヒーにドーナツ、金の食パンをはじめとするセブンゴールドシリーズなど、次々とヒットを繰り出すコンビニの“王者”セブン-イレブン。なぜセブンは、競合他社とは異なる新しい取り組みを先駆けて実行できるのでしょうか?
リーダー企業のお決まり戦略「マネをする」
一般的に、リーダー企業は保守的な戦略を採用しがちです。なぜなら、業界第2〜3位のチャレンジャー企業やフォロワー企業などに比べて、先行するメリットが少ないからです。
例えば、家電業界では、かつてパナソニック(旧松下電器産業)がソニーの戦略の後を追い、「マネシタ電器」と揶揄(やゆ)されました。自動車業界でも、アメリカでの現地生産、高級ブランドの立ち上げなど、トヨタはホンダを追随していました。
このように、リーダー企業が先行することが少ないのは、なぜでしょうか?
スケールメリットとも呼ばれる「規模の経済」は通常、売上高の最も大きなリーダー企業に有利に作用します。そのため、チャレンジャー企業やフォロワー企業がリーダー企業と同質の競争を行っても勝つことは難しくなります。
その結果、チャレンジャー企業はリーダー企業との差別化を狙い、積極的に新たな取り組みに挑戦していきます。通常、リーダー企業はより豊富な資金や人材、研究開発、生産、営業体制を持っているため、先行されても後から挽回可能であり、リスクの高い新規事業に打って出るメリットは小さいのです。
また、競合他社による新規事業の取り組みは、リーダー企業にとって、お金のかからない、極めてリアルなマーケティングリサーチとして活用が可能となるという捉え方もできます。
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