いま“逆求人型”の就活が必要とされるワケ(2/3 ページ)
いま“逆求人型”の就活が盛り上がりを見せている――。就活定番のイベントといえば合同企業説明会、いわゆるゴウセツ。しかしいま、こうした従来の就活スタイルを変える新しい風も吹き始めているという……。
「企業ありき」から「学生ありき」へ
3月21日に開催された「逆求人フェスティバル」では、将来はエンジニアとして働きたいと考えている約40人の理系学生が参加。都内の大学に通う学生だけでなく、同志社大学(京都)、神戸大学(兵庫)、室蘭工業大学(北海道)など、全国各地の学生が参加した。
学生はどのような部分に魅力を感じてイベントに参加しているのだろうか。ジースタイラスで、就活アドバイザーとして多くの学生と接してきた及川直人氏は次のように答える。
「自分のスキルや研究分野を生かせる企業、自分を高く評価してくれる企業で働きたいというニーズが、特に理系の学生の間で高まっています。学生のPR(やりたいこと、スキル、経験)を聞き、興味を持ってくれた企業がその学生にオファーをするという逆求人型の就活なら、より効率的に学生が求めている企業と出会うことができます」(及川氏)
逆求人型の就活をする学生は、ある特定の企業に入りたいというよりも、自分のやりたいことができ、自分の実力をより発揮できる企業に入ることを就活の軸にしている。だからこそ「自分の考え、スキルを知ってもらった上でオファーをくれる企業」と出会える逆求人型は、就活の効率化にもつながり、大きな魅力となっているようだ。
「大学での研究が忙しく、就活をする時間はありません。逆求人型のイベントに参加したのは自分に合う企業と効率的に出会える可能性が高いと思ったからです」(東京大学、岩成竜哉さん)
近年、就活期間は長期化しており、学業に支障が出るなど問題視されている。従来型の就活では、受けたいと思う企業に対して自分からES(エントリーシート)や自己PR文をその都度作成したり、企業説明会に足を運ぶ必要があるなど内定を取るまでの負担が大きい。
例えば、逆求人型の就活サイトなら、自己PR文などは一度作成しておけば、あとは興味を持ってくれた企業からのオファーがくるのを待つだけ。逆求人型イベントでも、一度に複数の企業へ自己PRができるので、内定を取るまでの工数を圧倒的に減らすことができるのだ。
「企業が不特定多数の学生に対して情報を発信する合同企業説明会では、結局、会社説明のパンフレットに載っている程度の情報しか得られません。この逆求人イベントでは、こちらの考え方を知ってもらった上で企業と1対1で話ができるので新しい発見もあります」(神戸大学、入江凛さん)
また、自分が知っている企業、興味がある企業だけを申し込む従来型の就活とは違い『まさかこの企業から評価してもらうとは思っていなかった』という意外な出会いがあるのも、逆求人の大きな魅力だそうだ。
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