酒井若菜さんが“物書き”として伝えたいこと:対談集をほぼ一人で作る(4/4 ページ)
女優の酒井若菜さんが文筆家としての一面も持っていることをご存じだろうか。これまでに小説やエッセイを出版し、先月には初の対談集「酒井若菜と8人の男たち」を上梓した。酒井さんが文章を書くことで伝えたい思いとは何だろうか――。
いろいろな生き方があっていい
この対談集で読者に伝えたいことは多い。その最たるものの1つが、生き方は必ずしも正解があるわけではない、ということだ。
「私が一人で作った本だと、あくまでも酒井若菜の考え方しか出せません。けれども、この対談集ではほかにも8人が登場しているので、8者8様の考え方や生き方を知ることができるのです」(酒井さん)
例えば、対談の中で、板尾さんは不得意なものはすべて捨てて、残ったものが強みなので、その強みを生かした方が良いと話している。「捨てて、捨てて、最後に残ったものが、あの板尾さんのおもしろさであり、オリジナルなキャラクターなのですが、それできちんと成功しているので説得力があります」と酒井さんは述べる。
一方で、ユースケさんは、不得意なものやコンプレックスみたいなものを捨てないそうだ。ずっと心に残しておくことで、それをエネルギーに変えてしまう。
「短所を捨てるか残すか、板尾さんとユースケさんが言っていることは真逆だけど、どちらも生き方としては正解なのです。それを読者が『オレは板尾さんタイプ』『私はユースケさんの方がいい』と選んでもらえばいい。そうした価値基準を提供できるのは、8人と一緒に作った本だからこそです」(酒井さん)
人はそれぞれ異なるのは当たり前で、いろいろな生き方があっていい。また、生きていれば、喜怒哀楽、さまざまなことがある。それこそが人生なのである――。酒井さんが書く一つ一つの文章にはそうした思いが強く込められている。
つまづいたり ころんだり するほうが 自然なんだな 人間だもの みつを
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