酒井若菜さんが“物書き”として伝えたいこと:対談集をほぼ一人で作る(3/4 ページ)
女優の酒井若菜さんが文筆家としての一面も持っていることをご存じだろうか。これまでに小説やエッセイを出版し、先月には初の対談集「酒井若菜と8人の男たち」を上梓した。酒井さんが文章を書くことで伝えたい思いとは何だろうか――。
「向田邦子全対談」と「藝人春秋」
今回の対談集を着想するにあたって、2冊の本が土台になっている。1つは、「向田邦子全対談」である。これは脚本家・向田邦子さんの死後に出版されたもので、向田さんの過去の対談記事と、その対談相手が亡くなった向田さんについての思い出話を綴ったエッセイの組み合わせになっている。
「私はまだ生きているから、私に対してエッセイを書いてもらうわけにはいきません(笑)。そこで、私が対談相手の方々について書けたらいいなと思いました。実際にそれは好都合で、私はしゃべることが得意ではないので、対談だけでは伝えきれないことが出てくるだろうから、それをエッセイで補えればと考えました」(酒井さん)
もう1冊は、水道橋博士さんが書いた「藝人春秋」だ。この本は、北野武さん、甲本ヒロトさん、松本人志さんといった著名人について、実際のエピソードなどを基に、水道橋さん独特の表現や言い回しでその人物像を痛快に描いている。
「藝人春秋は、芸能界の内側にいる人間にしか見えない光景を描いています。私も内側にいる身として、これまで出会ってきたたくさんの魅力的な人たちについて書けることがあると感じていました。けれども、私は筆力も熱量も博士さんには及ばない。ではどうしようと思ったときに、向田さんの対談集を思い出して、魅力を伝えたいと思っている人たちのことを私が書くのではなく、本人からの言葉を直接いただけば藝人春秋に近づけるのではないかと思ったわけです」(酒井さん)
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