酒井若菜さんが“物書き”として伝えたいこと:対談集をほぼ一人で作る(2/4 ページ)
女優の酒井若菜さんが文筆家としての一面も持っていることをご存じだろうか。これまでに小説やエッセイを出版し、先月には初の対談集「酒井若菜と8人の男たち」を上梓した。酒井さんが文章を書くことで伝えたい思いとは何だろうか――。
文章を演じる
文章を書くこと、女優として役を演じること、ともに「表現」である。共通点、あるいは違いはあるのだろうか。
酒井さんは以前、まったくの別物だと思っていたが、後述する自著の中で水道橋博士さんと対談した際に、「私は女優なのに文章も書くということにちょっと戸惑いがあるという話をしたら、博士さんに『「文章を演じる」っていう概念もあると思う』」と言われて、良くも悪くも女優の仕事とつながっていることを実感したそうである。また、より表現力を持たせるという点では、書くことも、セリフを声に出して読むことも、リズム感を重視しているという。
一方で、違いもある。例えば、本の場合は、監督、脚本家、主役、助演、プロデューサーなど、すべてを自分一人でできるが、女優業は作品の1つのパーツにすぎない。それは大きな相違点だとする。
ほぼすべてを一人で手掛けた
本格的に書くという仕事に携わるようになって、さらに文章に対するこだわりは強くなったという。それが色濃く現れたのが、今年2月に上梓した「酒井若菜と8人の男たち」である。
本書は、酒井さんと親交の深い8人――マギーさん、ユースケ・サンタマリアさん、板尾創路さん、山口隆さん、佐藤隆太さん、日村勇紀さん、岡村隆史さん、水道橋博士さん――との対談に、エッセイを加えたもの。ユニークなのは、すべて酒井さん自身が文章を書き、構成し、編集までを手掛けた点である。
その理由について、酒井さんは次のように語る。
「ほかの人に任せてしまうと、意図しない形で言葉が切り貼りされて、異なる解釈になってしまうことがあります。それがすごく怖い。でも、私がすべてを担当すれば、対談相手と直接面と向かって話したときの温度や速度なども伝えられます。この8人に対してはきちんとそれをキャッチできる感受性を持っているという自負があったので、自分自身でやることに意義を感じました。また、私が構成、編集するからこそ信用して、いろいろとさらけ出してくれた8人に対する誠意や責任感もありました」(酒井さん)
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