社員以上の愛社精神を持つ、ヤッホーファンが流した涙のわけ:「よなよなエール」流 ガチンコ経営(2/4 ページ)
私たちヤッホーブルーイングでは「よなよなエール」などを愛飲してくれるお客さんのことをファンと呼んでいます。今回は熱心なファンの一人、ゆみえさんとの間に生まれたあるエピソードをお届けします。
献身的に働いてくれたゆみえさん
ゆみえさんは私たちと同じく長野県在住で、その日、東京で行われたファンイベントにもわざわざ駆けつけてくれていました。そして、次に長野市で行ったマスコミ向け発表会にも自宅から2時間ほどかけて手伝いに来てくれました。
当日は会場の設営、マスコミ対応の練習、発表会中のビールや資料提供の段取りなど、社員と同じように献身的に動いてくれました。そんな準備の甲斐あって発表会は成功し、無事終了しました。終了後、ゆみえさんは「こんな風に発表会ってやるんですね! メーカー側の視点で体験できてとても楽しかったです!」と、何度も嬉しそうに話してくれました。
そして、後片付けも終わり、会社から乗ってきた社用車のワゴンに荷物を積み込み、5人の社員とともに私はゆみえさんに次のようなあいさつをしました。
「今日は本当にありがとうございました。こんなに手伝ってくれてとても助かりました。本来でしたら、この後近くのお店で打ち上げなどをやり、ゆみえさんの頑張りを労いたいところなのですが、私たちはこれから会社に帰って後片付けやら、次の仕事の準備をしなくてはなりません。本当にすみませんが、これで失礼します。今日はどうもありがとうございました!」
後ろ髪を引かれる思いで、乗車した全員でゆみえさんが見えなくなるまで車から手を振り続けました。帰りの車内でもゆみえさんの献身的な働き振りは社員と同じかそれ以上じゃないか、こんなファンがいるなんて本当に幸せだ、心から感謝しようねと、そんな会話が溢れていました。
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