ヨーロッパでも過熱化 衛星観測ビッグデータをどう利用する?:宇宙ビジネスの新潮流(2/3 ページ)
2016年に入り、衛星観測ビッグデータや衛星システムの利活用が欧州で活発化している。ソフトウェア大手のSAPや航空宇宙大手のAirbusなどがさまざまな取り組みを進めているのだ。
ESAとNASAによる衛星データ共有
さらに3月に入ってから、ESAは米NASA(米航空宇宙局)やNOAAなどとの間で、コペルニクスで運用される衛星「センチネル」のデータ利用に関する技術合意に達した。2015年10月に既に基本合意はなされており、双方が相手方の衛星観測データにオープンかつ自由にアクセス可能だった。今回の合意を経て、米国における気象分析や水資源利活用分析などへの利活用が見込まれている。
先に書いたように、米国では既にNOAAを中心として衛星観測データプラットフォームの構築と利活用のためのトライアルが進んでおり、米国と欧州の取り組みが間接的につながったとも言える。このように、欧米では衛星観測ビッグデータにまとめてアクセス、解析するようになり、ゲームのルールが変わり始めたのだ。
衛星技術を鉄道オペレーションに活用
他方で、ESAは特定業界向けに衛星システムの利活用も進めている。今年2月には欧州の鉄道産業向けに、Space-based solution(衛星システムを活用した課題解決)の資金提供や技術支援を行う「Space4Rail」というイニシアチブを立ち上げた。将来的には鉄道の位置情報管理、シグナリング、状況モニタリング、自然災害モニタリングなどに衛星技術が広範囲に活用されることが期待される。
今回のプログラムにはESAの先進的通信システム研究プログラムARTESなど4つのプログラムが含まれている。従来からこうした研究開発はなされてきているが、Space4Railというハブを作ることで、宇宙技術の理解や提携などをスムーズに進めるためのワンストップサービスを提供する。宇宙産業、鉄道産業、サービスプロバイダー間を仲介する役割も果たすという。
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