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日産自動車の“二律背反”:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)
増収増益と好業績を上げている日産自動車だが、実はそれをけん引しているのは海外での取り組み。ここ数年、国内での新型車の投入はほとんどないのが実態だ。
先日、とある友人から「日産自動車が心配なんだよね」と言われた。筆者が「日産の決算は増収増益だよ」と言うと彼は怪訝(けげん)な顔をした。感覚と現実の間に齟齬(そご)があるらしい。
日産自動車が2月10日に発表した2015年第3四半期決算によれば、概要は以下のようになっている。
売上高:8兆9430億円(前年比10.6%増)
営業利益:5875億円(同40.6%増)
経常利益:6310億円(同27.1%増)
当期純利益:4528億円(同33.7%増)
日産による通年の決算予想も併せて記載しておこう。
売上高:12兆2500億円(前年11兆3800億円)
営業利益:7300億円(同5896億円)
経常利益:7900億円(同6942億円)
当期純利益:5350億円(同4576億円)
これを見て心配という人はいまい。むしろ輝かしい結果だ。では、彼はなぜ日産が心配だったのか? それは、国内で新型車の投入があまりにも少ないからだ。普段目にする日産の国内での企業活動からは好調な気配が全く伝わってこない。まずはそれを検証してみよう。
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