公式SNSはなぜ炎上するのか 要因は3つ:炎上の火種(3/5 ページ)
Twitter、Facebook、InstagramなどSNSのビジネス利用が拡大している。一方で、炎上するケースも増えている。なぜ公式SNSは炎上するのか。要因を探ってみると……。
SNSの特性をしっかり理解すること
(3)理解不足
SNSの運用担当者がFacebookやTwitterの特性をあまり理解していないために炎上することがある。CMなどの広告と、SNSを利用した広告は全く違う。キャンペーンやマーケティング担当者は、これまでと同じ手法を使うのではなく、SNSの特性をしっかり理解した上で利用する必要がある。
事例: Twitterを利用したキャンペーンがスパムと思われて炎上
某食品会社がTwitterを利用したキャンペーンを行った。自動返信するBOTアカウントを複数作成し、あらかじめ設定したキーワードをユーザーが投稿したらキャンペーン内容を自動で返信するという仕組みだった。ところが、自動返信を受け取ったユーザーには「スパム」ととらえられてしまい、不審に思われて混乱を招き、炎上。結局、キャンペーンはわずか数時間で終了となった。
失敗の要因は2つ。1つは、「コーヒー」など極めて一般的な言葉を自動返信のキーワードに設定してしまったこと。商品名や企業名などの固有名詞であればともかく、ただ「コーヒー」と投稿しただけなのに自動返信が送られてきたユーザーとしては、その企業から送られてきたとは想起しづらく混乱を与えてしまった。
それに関連するが、2つ目は、自動返信の内容が完全にPRであったこと。Twitterを利用して企業がユーザーとコミュニケーションを図ることはよくあるが、定型文ではなく、人が書いているからこそ「つながり」が感じられて効果がある。
1つ目の唐突感に加えて、内容が無機質なPR文であったことから「スパム」と思われてしまったのだ。SNSは、遠く離れた人同士、芸能人とファン、企業と消費者など、日常では接点のない者同士が「つながる」という感覚にこそ強みがある。その特性を理解せず、無機質な文章を機械的に返信してしまったことが失敗要因の根底にあるだろう。
以上のような炎上事例をみると、ビジネスでSNSを利用するのは難しいと思うかもしれない。だが、情報を発信する上でも、消費者とのコミュニケーションを取る上でも、SNSは紛れもなく有効である。しっかりリスク回避策を取りつつ、活用していくべきである。
関連記事
- どう防げばいいのか? SNSによる情報漏えいが増えている
SNSによる情報漏えいが増えている。特殊な技術を要するものではなく、SNSを利用する上でほとんど無意識に個人情報や機密情報を漏えいしてしまう、「過失」の漏えいである。このような漏えいを抑止するために知っておくべきこととはなにか。 - 中国政府がいま最も恐れているのは、ネット上の「くまのプーさん」
中国共産党がネット上の検閲に力を入れている。いわゆる「サイバーポリス」と呼ばれる工作員が反政府的な発言などをチェックしているが、2015年に最も削除された発言は……。 - アップルが「iPhoneロック解除」に応じることができない理由
米国で「iPhoneロック解除」をめぐって大きな論争が起きている。騒動を詳しく見ていくと、この問題は米国だけのものでなく、私たちの生活にも影響を及ぼすかもしれないことが分かってきた。 - あなたは大丈夫? 10〜20年後、人工知能に奪われる仕事100
人工知能によってあなたの仕事が奪われるかもしれない――。このような不安を感じている人も多いのでは。ある調査によると「労働人口の49%が人工知能などによって奪われる」という結果がでたが、この数字をどのように受け止めればいいのか。 - 「バイトテロ」「バカッター」が存在する、3つの背景
「バイトテロ」「バカッター」は、2013年ごろから全国的に多発している。その後、企業のさまざまな取り組みによって減少したものの、一向になくなる気配を見せない。その背景に何があるのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.