身につけて疲労回復 新たな市場を開拓する「リカバリーウェア」とは?:高井尚之が探るヒットの裏側(2/6 ページ)
ジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、人気企業・人気商品の裏側を解説する連載。今回は身につけて疲労を回復する「リカバリーウェア」の人気を読み解く。
累計販売数が30万着を超えた「リカバリーウェア」
ベネクスという会社が神奈川県厚木市にある。従業員23人で年間売上高は約6億円の企業だ(2016年3月期)。同社が開発した「リカバリーウェア」という商品が大きな評判を呼んでおり、2009年の発売以来、累計で30万着を突破した。
この商品のキャッチコピーは「運動中に着てはいけないスポーツウェア」。スポーツ時ではなく、スポーツ後に着用し「疲労からの回復を図る」のが特長なのだ。価格は「リチャージ」シリーズのTシャツが1万円(税別)、スパッツ型のロングタイツが1万3000円(同)と決して安くない。
それでも人気なのは、愛用者から「疲労回復が実感できる」という口コミが広がったからだ。睡眠中に着用すると血流を促進して疲労物質や老廃物の排出を促し、冷えやむくみも改善。疲労回復につながる副交感神経に作用するという。
一連の商品にはプラチナなどの鉱物をナノ微粒子にした「PHT繊維」という特殊な繊維(国内外で特許取得)が使われている。この手の商品にはいかがわしい商品もあるが、同社は効果・効能面での実証も進めてきた。
例えば、東海大学と行った実験では、PHT繊維をシーツ状にして休息した場合にストレスを解消する効果がみられた。新潟医療福祉大学との実験では、PHT繊維を使用したロングタイツ着用によって疲労が抑制されることが分かったという。
「商品のエビデンス(証拠・根拠)には力を入れています。まずPHT繊維の安全性については国際規格「エコテックス規格100」認証を受けていますし、効果・効能についても国内外の15の大学や研究機関などと共同研究をしています」(同社、中村太一社長)
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