身につけて疲労回復 新たな市場を開拓する「リカバリーウェア」とは?:高井尚之が探るヒットの裏側(5/6 ページ)
ジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、人気企業・人気商品の裏側を解説する連載。今回は身につけて疲労を回復する「リカバリーウェア」の人気を読み解く。
「日常生活の疲労回復」に訴求を拡大
2016年3月、同社は新たな商品を発表した。新たに開発した素材を用いた普段着や部屋着を発売して「日常生活における疲労回復」に訴求対象を広げたのだ。
「着用して休息・休養をとる」需要は、スポーツ後以外にも広がっている。リカバリーウェアの購入者も、現在は約7割が一般ビジネスパーソンや主婦だという。そこで新シリーズでは商品ラインアップを、パーカーやワンピースなど自宅での着用を想定した「コンフォートシリーズ」と、ガウンや枕カバーなど就寝時に使う「スリープシリーズ」の2用途に分けて訴求した。
今回開発した素材は「PHTスーピマコットン」といい、リカバリーウェアで使われるPHT繊維よりも約20%軽く、柔らかい肌心地を実現したという。
一般的なスポーツウェアは、この十数年で「脱・汗臭さ」が進んでファッショナブルになり、ダウンウェアとの境目が低くなった。普段着としては流行性のデザインをどう考えているのだろうか。
「パンツでいえば、時代によって細身や太身が人気となるので、大きなトレンドは意識します。でも毎年新デザインを発表するような目先の流行は追わず、疲労回復の効果・効能を重視した基本的なデザインでの訴求を考えています」(中村氏)
今回の新商品は、2016年3月9日に名古屋駅前に開業した大名古屋ビルヂング内の「イセタンハウス」に出店した「リカバリーラボ」で先行販売している。ベネクスが運営する「休養」をテーマにしたセレクトショップだ。店の訪問客には同社を知らなかった人が多く、認知度拡大に一役買っている。
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