前代未聞の「スローテレビ」が、世界で注目されているワケ:来週話題になるハナシ(2/4 ページ)
「スローテレビ」という番組をご存じだろうか。いま、ノルウェーで爆発的なヒットになっていて、番組によっては国民の50%ほどが視聴しているという。ひとつの題材に絞って映像を長時間かけてゆるく放送するというが、どんなコンテンツがあるのだろうか。
ノルウェー国民の約4人に1人が視聴
「スローテレビ」は、ノルウェーの公共放送「NRK」が2009年に放送を開始した番組の通称だ。驚くのはその内容で、初回は首都オスロから第2の都市ベルゲンまでの列車(ベルゲン急行)の旅で、列車に固定した4台のカメラで収録された風景をただひたすら流すだけの非常にシンプルなものだ。しかも7時間にわたりノンストップで放送される。
この番組にはナレーションすらなく、ドラマ性があったり、ストーリー展開が盛り込まれたりしているワケでもない。映し出されるのは車窓から広がる風景のみで、深い緑の森林や鏡のような湖、さらに北欧でよく見られるフィヨルド(峡湾)など景色は美しいが、とにかく淡々としている。ところが意外にもそのスローさがウケて、ノルウェー国民の約4人に1人が視聴する大ヒットとなった。
さらに、2011年には「Hurtigruten: Minutt for Minutt」という、ベルゲンからロシアとの国境に近いキルケネスまでの北極海岸を横断する134時間に及ぶクルーズ船の旅を放送した。初回と違ったのは、生放送で5日間半かけて放送されたこと。番組に映ろうとする視聴者が沿岸沿いに集まるという現象まで起きた。この回は、ノルウェー国民の約50%が視聴するまでに人気となり、さらに大きな話題となった。
2013年には新たな切り口にも挑戦している。焚き火を特集した「National Firewood Night」では、薪が燃えるシーンだけで延々と8時間も放送された。ただこの回では放送時間12時間のうち、前半4時間を使って何人ものゲストが焚き火についてディスカッションなどを行うコーナーを放映した。それを見て、焚き火の奥深さを知ってもらおうという試みだった。この回は国民の約20%が視聴している。
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