前代未聞の「スローテレビ」が、世界で注目されているワケ:来週話題になるハナシ(3/4 ページ)
「スローテレビ」という番組をご存じだろうか。いま、ノルウェーで爆発的なヒットになっていて、番組によっては国民の50%ほどが視聴しているという。ひとつの題材に絞って映像を長時間かけてゆるく放送するというが、どんなコンテンツがあるのだろうか。
スローな番組がヒットした理由
今までの常識から考えると、ここまで単純な内容でなぜ高視聴率が取れるのか疑問に感じてしまう。ここまでスローな番組がヒットした理由は、どこにあるのだろうか?
「スローテレビ」を成功に導いたNRKのプロダクション・マネージャーであるThomas Hellum(トーマス・ヘルム)によると、文化的に共感を呼ぶテーマを選ぶことが重要だという。そして、あえて映像に手を加えないで放送することで、視聴者が自分なりのストーリーを作れることが大事になると語っている。
例えば、ある風景をゆっくりと10分ほど放映した場合、視聴者によって目に止まるものが違ってくる。ある人は空を羽ばたく鳥が気になるかもしれないが、ほかの人は地上を歩いている動物が気になるかもしれない。つまり、同じ景色でも見る人によってストーリー展開が変わっていく。
また、スローテンポなため、番組を見ているうちに映像に引き込まれていき、あたかもその場所にいるような錯覚に陥ってしまうと、ヘルムは言う。そして、何も起こらないだろうと分かっていても、気になって何時間も映像に釘付けになる。そこがスローテレビの魅力となっている。
そして近年、この「スローテレビ」のフォーマットを使い、他国でも同様の番組が制作され始めている。隣国スウェーデンでは、首都ストックホルムから第2の都市ヨーテボリまで、イェータ運河(水利技術の粋を集めた、スウェーデン最大級の土木遺産)を下る5日間の旅や、3日間にわたるヘラジカ狩りなどを特集する番組が制作された。
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