社員にプロジェクトを押しつけていた失敗から学んだこと:「よなよなエール」流 ガチンコ経営(1/6 ページ)
ヤッホーブルーイングはファンに対してだけでなく社員同士でもガチンコで物事に取り組んでいます。プロジェクトチーム作りもかつては悪戦苦闘の連続でした……。
8年連続の赤字からヤッホーブルーイングがいかにしてV字回復を遂げたのか。その要因は「顧客(ファン)との関係構築」と、社内の「チーム作り」でした。
前回、前々回の連載で、ファンとのガチンコエピソードについてお話しました。今回はチーム作りでのガチンコについてご紹介したいと思います。
失敗続きのプロジェクト
2000年代後半、よなよなエールの最上級品「よなよなリアルエール」の缶製品の販売方法を検討していたときの話です。全社を挙げて取り組んだ新製品だったので、初めて部門横断的なプロジェクトチームを発足しました。チームメンバーは各部門でスキルが高いスタッフを中心に、私が直接5〜6人を指名するほどの気合いの入れようです。
期待に胸を膨らませてプロジェクトを開始したところ、すぐにある異変に気が付いたのです。あるプロジェクトメンバーが次の会議までに割り当てていた宿題をやってこなかったり、いろいろな言いわけをして自分の役割を進めなかったり、挙句の果てには、プロジェクトの進行を難くせ付けて妨害する、という行動をとり出したのです。
これには正直とても驚きましたし、怒りすら覚えました。全社を挙げた重要な業務なのに、お前はいったい何をやっているんだと。ただ、このメンバーの言い分を聞いているうちに、私の考え方を修正しなければならないことに気が付きました。このメンバーは「自分はこのプロジェクトに興味がない」「抱えている自分の仕事がとても忙しい」「そんな中プロジェクトメンバーになること自体嫌だった」などの話をしたからです。
もちろん、重要な仕事をこうした態度で対応するのは企業人としてよろしくないのは確かですが、本人のモチベーションを考えると、ここまでのケースは極端だとしても、自分自身に置き換えて考えてみると、それなりに理解できる部分もありました。
また、プロジェクトをマネジメントする観点から考えると、こうした後ろ向きな人がいると、決してチームはうまく機能しないということも初めて痛感したのです。
「このままではダメだ。今のやり方では将来大きなプロジェクトをやり抜くことはできない。プロジェクトという名の、実行力がないダメ集団となってしまう。やり方を抜本的に見直そう」。そう決断しました。
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