社員にプロジェクトを押しつけていた失敗から学んだこと:「よなよなエール」流 ガチンコ経営(2/6 ページ)
ヤッホーブルーイングはファンに対してだけでなく社員同士でもガチンコで物事に取り組んでいます。プロジェクトチーム作りもかつては悪戦苦闘の連続でした……。
どういう組織にしたいのか?
では、どういう風に変えようか。正直迷いに迷いました。スキルが高い人を選んでもやりたくなければ同じ失敗を繰り返してしまいます。ではいっそのこと、やりたい人にやらせてはどうか。
いやいや、それはやはり無謀かも。その人のスキルが低かったらどうなってしまうのか。プロジェクト全体の足を引っ張るのではないか。それに、やりたい人が所属チーム内で複数いた場合、そのチームの仕事に支障が出るのではないか。挙句の果てには、皆興味がある仕事しかしなくなるのではないか。
……などなど、いろいろな問題が出てきて、何を軸に判断していいのか分からなくなってきました。そこで一度冷静になり、頭を整理して一番大事な判断の軸を考えることにしました。
「私は会社をどういう組織にしたいのか? そして何を大事にしたいのか?」
その際の大前提は、「基本的に、多くのスタッフは良い人なのだ」ということです。自分の都合だけを考えて行動する人はそうはいないはずだ、という信頼関係です。
何日も何日も、「どういう組織にしたいのか? 何を大事にしたいのか?」という自問自答を繰り返しました。そして、行きついた答えは、
- 自発的に考え行動する積極的な組織
- いつも楽しく仕事をしてやりがいのある組織
を目指そう、というものでした。ここまで決めたら、あとは早いものです。新しくでき上がったのが以下の方針です。
プロジェクト基本方針
1. プロジェクトに興味ある人であれば、メンバーはスキルや部署を問わない
2. メンバーになるには自ら手を挙げ、立候補する
3. たとえ時間がかかっても構わないので、 メンバー全員で合意する
4. タイムリミットが来たらトップダウンでの決定もあり得るが、極力、プロジェクトメンバーで解決する
このような方針を決めたのは、私なりに次のような効果を期待してのものです。いずれも過去の失敗と成功を教訓にしています。
期待する効果
1. 自ら手を挙げた人は決して諦めない、達成しようと最大限努力する
2. 自分の考えた案が採用されうまくいくと、誰もが嬉しいし楽しい
3. 目標を達成したときの喜びはメンバー間で共有され増幅する
4. 成果は一人でやるよりはるかに大きなものが得られる
5. 成功体験はチーム内外で共有され、チームは進化し、そして周りに波及していく
このように考え、新しいやり方でプロジェクトは再スタートしました。果たして、自ら手を挙げ参加してくれる人はいるのか。それが最初の心配でした。
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