銀座のホステスに学ぶ「チラ見せ術」:銀座で学んだこと(2/3 ページ)
前回、「お客さまは神様ではなく王様」というお話をしました。王様の気分を害すことなく、自然に売り込みができる営業トークとはどういうものでしょうか。
売り込みは端的に
先にもお話ししましたが、営業職のポイントは「自分を売り込むことが目的でなく、王様をいかにいい気分にできるか」ということです。
「売り込むなと言われても、営業は数字と向き合って利益を追求しなければならない厳しい世界だ」と思う方もいらっしゃるでしょう。もちろん、その通りです。
しかし、王様は相対した時点で、商品やサービスについて理解したうえで「話を聞く」という気持ちになっていますので、ここで自分がいかに有能な人間かをアピールするよりも、端的かつスマートに商材の紹介をするほうが、“デキる営業”という印象が強くなるのではないでしょうか。
ここで、私のエピソードを1つご紹介します。5月の連休中に、店内のわずかな傷の修復作業を行うため、とある業者のAさんと打ち合わせをしました。名刺を交換して少し世間話をしたあと、Aさんはこう話し始めました。
「ウチの商材は特許を取っていましてね。港区にある大手喫茶メーカーのカフェも、●●区のマンションのエントランスもウチのモノを使っていただいて。銀座はまだ経験がないのですが、ウチの商材を使っていただけたら、それはもうスゴいことになりますよ」と言いながら、Aさんはタブレット端末で写真を見せ、ご自身と商品を売り込み始めました。
売り込みは結構ですが、私の希望は店内の傷の修復のみ。店を全面改装するという相談であればよかったかもしれませんが、本来の希望である傷の修復に対してのトークではありません。今回は知り合いの方からご紹介いただいたこの業者でお願いするつもりでお会いしたのですが、残念なことに傷の修復は他の会社に委託することになりました。
Aさんは修復部分を見た後に「そういえば、こんな商材あります。特許も取っていますからモノは確かです」と一言で終わっていたとしたら、また違う展開になっていたかもしれません。私にとってお店はわが子のように大切ですから、きっと私のほうから特許のことをあれこれ聞いたことでしょう。もしかすると、お盆くらいに店の全面改装を考えたかもしれません。
営業の方にとって大切なのは、常に王様の呼吸と話をするタイミングを観察し、いかに興味を持ってもらうかということではないでしょうか。
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