告白方法もアドバイス 成婚率5割を超える婚活サービスが急成長しているわけ:ポーター賞企業に学ぶ、ライバルに差をつける競争戦略(6/6 ページ)
2000年に日本初のインターネット結婚情報サービスを開始したのを皮切りに、現在では包括的な婚活支援サービスを提供しているIBJ。会員の成婚率は5割超えという、業界でも高い数字を誇っている。そんな同社の取り組みを石坂社長に聞いた。
広告宣伝費はかけない
大薗: 同業他社と比べて広告宣伝費をあまりかけていません。この理由を教えてください。
石坂: 会員の質を担保するためです。広告を打てば打つほどコストがかかるため、入会させなきゃという過剰な営業モチベーションが生じてしまいます。その結果、結婚させるのが難しい人をどんどん入会させてしまうことにつながります。
通常はその人の意思確認をして、それに対して僕らがお手伝いすることで結婚する可能性が高まるだろうという納得感をお互いに持つことを重視しています。なぜなら、お金を払って入会した上で、会員には結婚に向けて頑張ってもらわないといけないわけです。傷つくこともあるかもしれない。そうした中で僕らは主体ではなく、あくまでサポートする立場だということを顧客に納得してもらった上で伴走するのです。
収益を短期的に上げたいときは広告宣伝費を積み増して顧客を引っ張ってくればいいわけですが、比例して会員の質は下がります。これは会員のスペックという意味ではなく、僕らのサービスを少しでも体験してもらい、それなりの信頼感を持って入会いただく人と、広告を見て、切羽詰まった勢いで入って来てしまう人とでは、成婚率にもかなり影響が出てくると考えています。
大薗: 今後のビジネス展望はどうお考えでしょうか?
石坂: 婚活マーケットは今まさに成長している最中で、競合他社が次々と参入してきて、国も予算を割いています。官民挙げて潜在的な需要を掘り起こしているわけです。ただし、この未婚化や少子化に逆行してずっとマーケットが拡大するとは思えません。そうした中で婚活だけに特化していると、IBJの事業成長は緩やかになってしまう気がします。
そこで1つは、ウエディングや不動産、保険のような垂直分野に展開することが考えられます。結婚した人の大半が引っ越しするし、保険を検討します。ただしこの領域はレバレッジが効くとは思っていません。
僕らが得意なのは、Webで人と人とを結び付けて、絆を作る部分を付加価値提供していくことです。これは婚活という分野から離れても実現できると思います。例えば、シニアの分野です。アクティブシニアというキーワードがあるように、定年退職してからも元気に活動するシニアがどんどん増えていきます。彼らに対してコミュニティー作りなどの支援をするニーズは高いと見ています。これはソーシャルメディアだけではできません。必ずリアルの部分でのつながりが求められるはずですから。
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