「札幌駅に北海道新幹線のホームを作れない」は本当か?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/6 ページ)
JR北海道が「北海道新幹線の札幌駅は在来線に隣接できない」と言い出した。既定路線の撤回であり、乗り換えの利便性も低下する。札幌市と建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が反発している。JR北海道の言い分「在来線の運行に支障がある」、これは本当だろうか。駅の線路配線図とダイヤから検証してみよう。
名鉄名古屋駅は1日約900本の列車発着、でも線路は2本
比較のために、札幌駅と様子が似ている名鉄名古屋駅を紹介しよう。名鉄名古屋駅は名鉄岐阜と豊橋を結ぶ名古屋鉄道本線の中間駅だ。函館本線の中間駅の札幌と通じる。また、岐阜側からは犬山線、豊橋側から常滑線が乗り入れる。これも札幌駅の札沼線乗り入れ、千歳線乗り入れに似ている。
名鉄名古屋駅は大都市・名古屋の中心である。どの路線も通勤需要が旺盛だ。また、都市間連絡向けの特急があり、常滑線の先には中部国際空港があって、空港特急ミュースカイなど、空港連絡列車も多い。これも千歳線の快速エアポートに通じる。
この名鉄名古屋駅は1日に約900本の列車が発着する。札幌駅の1.5倍だ。列車ダイヤも実に過密。前掲の札幌駅付近のダイヤと同じ時間軸で表示すると、列車の密度の差がハッキり分かる。
札幌駅では約600本の列車を発着させるため、ホームは10番線まであった。それでは、約900本の列車が発着する名鉄名古屋駅のホームはどうなっているか。半分以下の4番線までしかない。線路の数は2本。つまり、豊橋方面、名鉄岐阜方面それぞれ1本ずつである。札幌駅は回送含めて11本の線路があった。名鉄名古屋は2本だ。
これが、札幌市と鉄道建設・運輸施設整備支援機構がJR北海道に苦言を呈した「ダイヤ調整の余地はある」の意味だ。名鉄名古屋駅が2本の線路で約900本の列車を運用できるなら、札幌駅を発着する約600本の在来線列車は、もっと少ないホームの数で運行できるのではないか。
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