ISとアルカイダが合併? 最恐テロ組織が誕生する可能性:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
イスラム原理主義勢力タリバンのリーダーが、米軍の爆撃で死亡した。このニュースは世界中で大きく取り上げられたが、日本ではあまり大きく報じられていない。ただ日本も、テロの脅威に対して、対岸の火事だと片付けるべきではない。なぜなら……。
専門家たちの恐ろしいシナリオ
このようにアフガニスタンにも侵入しているISは今、別の悪名高い国際的なテロ組織と手を結ぶ可能性が指摘されている。アルカイダだ。
米軍によれば、ISは現在、2014年時点で支配していた領土のうちシリアで20%、イラクで40%ほどを失っており、劣勢にあると言われる。現状では国家樹立は到底無理だろうが、それでもジェームズ・クラッパー米国家情報長官は2016年2月に、上院の委員会で「ISはシリアとイラクでカリフと自称していることや、分派組織や海外にも広がる関連組織の存在、または世界中のあらゆる標的への攻撃を行わせたり、直接指示したりする能力が高まっているおかげで卓越したテロ脅威を見せつけている」と今も警戒感を示している。
そして最近、専門家たちは恐ろしいシナリオについて言及している。
もともとアルカイダから派生したISが、再びアルカイダと連携する可能性があるというのだ。アルカイダは最高指導者ウサマ・ビンラディンが殺害される前から、その影響力はかなり低下していた。だが最近、復活しつつあるとの向きもある。クラッパーは既出の上院員会で「アルカイダとその関連組織が盛り返しており、2016年に存在感を再び見せるだろう。地元や地域だけでなく、世界的にも脅威になり続ける可能性がある」と述べている。
もともとISとアルカイダの関係は、ISがカリフ制国家の樹立を宣言してから完全に決裂しており、普通に考えたらこのシナリオはあり得ないという声がほとんどだというのは著者も分かっている。というのも、アルカイダの現リーダーであるアイマン・ザワヒリは、ISの最高指導者アブバクル・バグダディを認めていないと明確に主張している。実際にアルカイダ寄りのISメンバーがバグダディに対してクーデターを起こそうとしたこともある。
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