ランドセルがじわじわと値上がりしている理由:新連載・繁盛店から読み解くマーケティングトレンド(4/4 ページ)
平均単価は約5万円、中には15万円を超えるランドセルも。数年前から小学生向けランドセルの高価格化が進んでいます。そしてまた、値段が高くても売れているのです。その背景にはどのような消費トレンドがあるのでしょうか。
次の注目は「孫旅」
孫消費がモノだけでなくコトへと消費が拡大している中ではランドセルだけでなく、さまざまなモノやサービスが売れていくだろうと考えられます。これからの注目は「孫旅」です。ジジババと孫だけの旅行、この市場が拡大していくでしょう。
普段なかなか自分たちの時間が持てないパパママたちも、ジジババが旅行に連れてってくれるなら夫婦だけの時間を持てますし、行きたかったレストランでゆっくり食事を楽しめる。皆にとってプラスの孫旅は需要があると思います。
実際、そうした需要をくみ取るかのように、星野リゾートの「リゾナーレ熱海」では、孫旅コンシェルジュというスタッフを配置しています。来館されるお孫さんの年齢にあった遊び方、ホテルでのくつろぎ方を提案するといった、孫旅初心者向けのジジババにも親切なサービスを導入しています。
同施設には孫たちが遊べるクライミングウォールや、シェフになれるキッズスタジオなど、さまざまなサービスが用意されています。最後には旅の思い出をフォトブックにして自宅に届けるというサービスまで用意しています。このような孫旅はジジババにとって一度は経験してみたいコト消費だと言えるでしょう。
このように、ランドセルやおもちゃなど従来の物販に加え、これから増えるのはサービス消費です。孫ランチ、孫ディナー、孫ヘアサロン、孫ナイター、孫スケート、孫釣り、孫ゴルフ……。最近ではお受験サポートなど孫教育にまで広がりを見せ始めています。
孫のためにできることなら何でもしたいというジジババの欲求は尽きることがありません。なぜなら、孫消費の実態は、孫と過ごす時間を買っているという幸せ消費だからです。
著者プロフィール
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
株式会社 船井総合研究所 上席コンサルタント兼ブランドプロデューサー
1969年、静岡市生まれ。ファッションを専門分野とした流通小売業界のコンサルティングのスペシャリスト。百貨店の営業戦略および全社MD戦略立案、GMSの売場再構築、大手メーカーの新規ブランド開発、SPA型小売業の事業戦略策定、中小専門店の現場支援コンサルティングなどを通じ、各業界で注目を集めるグレートカンパニーを数多く輩出させている。街歩きと店歩きによる消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。
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