売上高53億円を超えた! 「オフィスグリコ」が成功した3つの理由:菓子でリフレッシュ(4/8 ページ)
皆さんの会社には「オフィスグリコ」はあるだろうか? 江崎グリコがこのサービスを本格展開し始めてから十数年のうちに売上高は17倍以上の53億円に。その成功の秘密に迫った。
オフィスでアイスが売れる!
2つ目は、オフィス環境や顧客ニーズの変化が、オフィスグリコにとって追い風となった点だ。
オフィス環境の変化に伴って、リフレッシュメントの重要性が高まるとともに、そうした場を通じたコミュニケーションが重視されるようになってきた。さらに、気分転換にオフィスで菓子を食べるというニーズが生まれ始めたことに加え、福利厚生の1つとして、総務部門がオフィスグリコを導入するという事例が増加してきた。最近では、2015年からストレスチェックが義務化されたのに伴い、働きやすい環境作りの1つとしてオフィスグリコを導入する例も出ているという。
同社でも、「職場環境の改善という観点から、オフィスグリコを提案する活動を開始している」(グリコチャネルクリエイト オフィスグリコ事業部首都圏市場開発チームの今井千尋氏)という。
元々は女性の購入が多いと見られていたオフィスグリコだが、実は、30〜40歳の男性の購入も目立つという。例えば、「ビスコ」は子ども向けの菓子として定着しているが、30〜40歳の男性が子どものときに食べた菓子という背景もあって売れている。これまで菓子の需要層として想定していなかった市場を開拓することにもつながった。
また、昨今ではクールビズの導入に伴い、夏場にオフィスの設定温度を28度にするといった動きが見られるが、これに伴い暑いオフィス内で、オフィスグリコを通じてアイスクリームを購入するケースが増加したという。
同社の調査によると、2015年度に、オフィスグリコで最も売れた製品が、アイスクリームの「ジャイアントコーン」。さらに、3位には、「デザートスタイル<レアチーズケーキ>」、8位には「オフィスグリコチョコモナカ」、9位には「たいやきアイス」と、ベスト10の中にアイスクリームが4商品も入っている。
ちなみに、2015年度の人気商品ベスト10は以下のようになっている。
1位:ジャイアントコーン アイスクリーム
2位:フレンドベーカリー<チョコレートビスケット> ビスケット
3位:デザートスタイル<レアチーズケーキ> アイスクリーム
4位:プジョイ チョコレート
5位:ビスコ<発酵バター> ビスケット
6位:かるじゃが<うましお味> スナック菓子
7位:ポスカ<クリアミント> ガム
8位:オフィスグリコ チョコモナカ アイスクリーム
9位:たい焼きアイス アイスクリーム
10位:ビスコ<小麦胚芽入りクラッカー> ビスケット
オフィスグリコでは、年間約30種類のアイスクリームを提供しているというが、「疲れたときに濃厚な甘さがほしくなり、アイスクリームを買っている」(40代男性)、「ビスケット類を食べると夕食に響くが、アイスクリームはしっかりとした甘さはあってもそこまでおなかにたまりにくいところがいい」(30代女性)、「アイスは片手で手軽に食べられるので、作業しながらだとちょうどいい」(30代男性)といった意見があることを挙げながら、「オフィスの節電対策が強化され、オフィス内の設定温度が上昇。冷たいものを食べたい、飲みたいというニーズが高まり、アイスが注目され始めた」と古藪社長は自己分析している。
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