売上高53億円を超えた! 「オフィスグリコ」が成功した3つの理由:菓子でリフレッシュ(8/8 ページ)
皆さんの会社には「オフィスグリコ」はあるだろうか? 江崎グリコがこのサービスを本格展開し始めてから十数年のうちに売上高は17倍以上の53億円に。その成功の秘密に迫った。
競合の参入も歓迎
そして、3つ目がコーヒーマシンのレンタルサービス「ネスカフェ アンバサダー」など、オフィスグリコ以外のオフィス向けサービスの増加だ。競合は一部領域にとどまるが、こうした動きはオフィスグリコにとってマイナスに働かないのだろうか。
これに対して、古藪社長は、「オフィス向けサービスの増加は、市場全体を活性化し、相乗効果も生まれると考えている。その点では、こうしたサービスへの認知度が高まり、オフィス需要を喚起するきっかけになると期待している」と語る。古藪社長は、オフィス向けサービスそのものの認知度がまだ低いと判断しており、多くの企業の参入が市場全体を活性化することになると考えているのだ。
この分野は、BtoE(企業対社員)とされる市場だが、BtoE市場全体が広がれば、オフィスグリコのビジネスチャンスも拡大するというわけだ。古藪社長は、「将来的には、この仕組みを他社にOEMするなど新しいビジネスを創出する可能性もある」とする。こうした数々の課題も成長の機会に捉えているのがオフィスグリコの基本姿勢だ。
古藪社長は、「商品ラインアップの拡充により、仕事中のリフレッシュメントを実現し、オフィス内のコミュニケーションや循環型備蓄品としての提案も行っていく。オフィスグリコは、きめ細かなサービスとサービススタッフの笑顔によって、オフィスのスマイルポイントとなれるようにしたい」と抱負を語る。
オフィスグリコのビジネスチャンスはまだ大いに開拓できそうだ。
著者プロフィール
大河原克行(おおかわら かつゆき)
1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、25年以上にわたり、IT産業、電機業界を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。現在、ビジネス誌、Web媒体などで活躍。PC Watchの「パソコン業界東奔西走」をはじめ、AVWatch、クラウドWatch、家電Watch(以上、インプレス)、日経トレンディネット(日経BP社)、ASCII.jp(KADOKAWA)、ZDNet(朝日インタラクティブ)などで連載記事を執筆。夕刊フジでは「まだまだスゴい家電の世界」、中日新聞では「デジモノがたり」を連載中。著書に、「松下からパナソニックへ 世界で戦うブランド戦略」(KADOKAWA)、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「図解 ビッグデータ早わかり」(KADOKAWA)などがある。近著は、「究め極めた『省・小・精』が未来を拓く――技術で驚きと感動をつくるエプソンブランド40年のあゆみ」(ダイヤモンド社)。
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