相次ぐ自動車メーカーとIT企業の提携 両者の狙いとは?(1/4 ページ)
ITなど異業種から参入した新たなプレイヤーと、それを迎え撃つ自動車メーカー。本特集では、道路という古くて新しいネットワークを舞台に始まった次世代の競争を追う――。
自動車メーカーVS. IT企業――。この対決構図が注目されるきっかけを作ったのは、間違いなくGoogleだ。具体的には2010年、Googleが自動運転を開発中と公表した、あのニュースが流れたときからだ。
自動車メーカーも従来から、自動運転の研究開発は行っていた。しかし、自動ブレーキなど運転支援となる技術は導入していたものの、ステアリングもペダルもない完全な自動運転車を未来のクルマとして提案することには消極的だった。
Googleには、そんなジレンマはない。彼らはGoogle Mapsの地図データと、近年買収を進めてきたロボット研究開発企業の技術を組み合わせれば自動運転ができると考え、すんなりとこの分野へ参入した。
ともあれ、このニュースが契機になって、自動車業界は一気にかじを切った。欧州のダイムラーや日本の日産自動車は、いち早く自動運転の研究開発に積極的であることをアピール。日産は18年には、高速道路での車線変更を自動的に行う技術の実用化を目指し、20年までに交差点を含む一般道での自動運転技術を投入する予定としている。
この分野では遅れているといわれていたトヨタ自動車も、15年10月、東京五輪・パラリンピックまでに自動運転の実用化を実現したいという安倍首相の表明と歩調を合わせるように、自動運転技術を報道陣に公開した。
我が国のIT業界にも動きが見られる。ディー・エヌ・エーは自動運転技術の研究開発会社ZMPと組んで、自動運転タクシーの運行を目指すロボットタクシーを設立。ソフトバンクも東京大学の研究施設から生まれた会社、先進モビリティと合弁で、自動運転を活用したモビリティサービスを事業とするSBドライブを設立している。
Googleに続きAppleも自動車業界に参入するといううわさがある。しかし、現時点で収集した情報によれば、同社は自動運転が前提ではなく、テスラモーターズのような革新的なデザインとテクノロジーを持つ電気自動車の開発を目指しているようだ。
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