2015年7月27日以前の記事
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長く売れ続ける「定番」を狙う デザイナー・小関隆一氏のモノ作り哲学とは?「全力疾走」という病(5/7 ページ)

ワインボトルの形をしたLED照明「Bottled」や、ペン型のはがせる水性塗料「マスキングカラー」など、ユニークな日本の技術をうまく組み合わせた商品をデザイン。これらは国内外で売れ続けている。その仕掛け人、デザイナーの小関隆一氏の生き方を追った。

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売り込み営業をすべきでない

 時が来て、喜多の元を離れる日が来た。そのときの激動ぶりは前述した通りだ。「早い人は3年ほどで独立する。通常でも5〜6年くらいでしょうか。この業界で13年というのは長過ぎです」と小関は苦笑する。

 独立しても、デザインの仕事そのものは数多くの経験を積んでいたので自信はあった。けれども、喜多の事務所があった大阪から東京に移り、仕事のツテが激減したことや、独立したばかりの自分のデザインフィーがいくらなのかということもよく分からなかった。

 では、どのように仕事を取ってきたのだろう。実は小関は「売り込み営業」をしなかったのだ。これには小関なりの強いこだわりがある。

スタジオにて
スタジオにて

 「デザインの仕事のポジショニングって、すごく重要だと考えています。『自分は良いデザインしますよ、どうか買ってください』とお願いするように売り込んだとき、そのデザイナーに適切なフィーを払う人がどれだけいるでしょうか。足元見られるし、なめられるし、たくさんのデザイナーの中の一人扱いされるなと思ったのです。売り込み営業をするのは自分の首を絞めるので、自分はやるべきではないと思いました」

 その結果が、初年度のわずかな売り上げ数字である。多少の蓄えはあったので大きな不安はなかったが、さすがにずっとこのままというわけにはいかないのでアルバイトなどをしながらしのいだ。

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