コンビニに血まみれの客が来ても、警察に通報しない理由:コンビニ探偵! 調査報告書(3/4 ページ)
先日、神奈川県相模原市の障がい者施設で殺傷事件が起きた。事件後、犯人はコンビニで血の付いた紙幣で買い物をしたという。事件性の有無にかかわらずコンビニにはいろいろなお客さんが来る。今回は、筆者が出会ったチョット困ったお客さんを紹介しよう。
血まみれの人が来たら、どうする?
冒頭でも触れたが、頭や手足から血を流している人が来店するのは、実は珍しいことではない。
ほとんどの人は「そこで転んじゃったよ」と血が出ている理由を言いながら、ばんそうこうや包帯、タオル、ティッシュといった手当てに使える商品を購入する。それならまだ想定の範囲内だが、中には「スプラッター映画(殺害シーンなどが多い映画)の撮影でもしているのか?」と疑うほど、大量に出血している人もいる。さすがに反応しないわけにもいかないので、「どうかなさいましたか?」と一応聞くのだが、そういう場合は逆に「なんでもない」の一言で終わることが多い。
さて、このような状況のとき、コンビニの店員は警察に通報するのだろうか?
パンツ一丁事件のときはイジメの可能性が高いと判断して、筆者が110番通報した。警察的には大ごとにはならないだろうが、「周辺の見回り、よろしくお願いします」とだけ伝えた。
汚物にまみれた人が来店した場合は、認知症を患った老人が徘徊(はいかい)していると判断できれば通報する。家族が捜索願を出していることもあるので、コンビニではアルバイトも含め、認知症を患っている人を見かけたときには通報するように周知されている。また、受け答えがしっかりした人や単なる酔っぱらいがなかなか帰ってくれない場合も、営業妨害として通報する。
そして、血まみれの人が来たらどうするのかと言うと、通報しないケースが多い。出血の理由を自分で説明していれば通報しないし、そのわけを言わない人も「なんでもない」と言っているのだから、こちらも「なんでもないのだろう」と素直に受け止めて通報しない。大量に出血していたら「なんでもない」はずはないのだが、通報しない一番の理由は、たとえ通報しても警察が来るころには対象者がいないというパターンがほとんどだからだ。
パンツ一丁事件にしても、通報したところで対象者を発見することは難しいし、仕事とはいえ警察としても性犯罪者でもない人を追いかける必要もないだろう。
ちなみに、ATMを設置しているコンビニは民間の警備会社と契約を結んでいるが、使い勝手が悪い。なぜなら、警察とは違って民間の警備会社は職務上の権力を持っていないからだ。仮に呼んだとしても、せいぜいできることと言えば、暴言を吐きまくるクレーマーを店から追い出す程度だ。
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