ドローンやAIを駆使して40億人を救う Facebookが進めるネットインフラ構築とは?:宇宙ビジネスの新潮流(1/3 ページ)
宇宙ビジネスへの新規参入がますます加速している。SNS最大手の米Facebookがソーラーパワーで飛ぶドローン「Aquila」のテスト飛行に成功。地球の隅々までインターネットインフラを普及させるプロジェクトを推進する。
宇宙ビジネスの世界に新たな巨大プレイヤーが加わった。
17億人超のアクティブユーザーを持つソーシャルネットワークサービス(SNS)最大手の米Facebookが7月21日、ソーラーパワーで飛ぶドローン(無人航空機)「Aquila」のテスト飛行に成功したと発表した。背景には衛星、ドローン、AI(人工知能)などの最先端技術を組み合わせることで、地球の隅々までインターネットインフラを普及させるという同社のプロジェクトがあるのだ。
専門組織の立ち上げ
Facebookがインターネットインフラ普及に関する取り組みを公表したのは3年前に遡(さかのぼ)る。2013年8月に通信機器大手の欧Nokia、欧Ericsson、半導体大手の米Qualcomm、スマートフォン大手の韓Samsung Electronicsとともに、世界のインターネット普及促進を目指した非営利団体「Internet.org」を立ち上げた。
同社のマーク・ザッカーバーグCEOによると、同団体はインターネットインフラが十分ではない40億人の人々を対象に、世界的なパートナーシップを通して長期的な問題解決を行うことをビジョンに掲げている。同団体の発表によると、過去3年間の活動を通して2500万人の人々が新たにネットに接続できるようになったという。
また、Facebookでは2014年にInternet.orgの一環として社内に「Connectivity Lab」というチームを立ち上げた。これはドローン、衛星、レーザーなどを活用して、地理的環境に左右されずインターネット接続を実現するための研究を行うチームだ。同組織には、高空域長期滞空無人機で定評のある英Ascenta、NASA(米航空宇宙局)のジェット推進研究所やエームズ研究所などのエキスパートも名を連ねている。
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