ブランディングとは、お客さまと企業との「幸せな関係づくり」:「売れる商品」の原動力(3/4 ページ)
「ブランド」の本質は、自分たちと世の中とが互いに“幸せな関係”になっていくところにあります。
「情熱の総量」がブランドの強さ
その上で、ではブランドの強さというものはどこから生まれるのか。
私は、それは“情熱の総量”だと考えています。そのブランドに関わっている人がどれくらいいるのかということと、その関わっている人たちが、ブランドに対してどれだけ強い情熱を傾けているのかということの掛け算の総量です。
もちろん、関わっている人というのは、作り手側、企業側だけでなく、消費者も入ります。買う側が、その商品を好きになって、お金を払う。人に薦める。あるいは意見をする。すべて、情熱です。
ブランド力を強くするためには、まず何よりも、企業の中のプラスの情熱を高めることが必須です。となれば、働いている環境がよくなかったり、ブランドに対して社内で合意が形成されていないということがあると、当然モチベーションは下がってしまいます。
ですから、どのようなブランドに磨きあげていくのかというビジョンは、そこで働く社員のモチベーションが上がるものがなければなりません。そうやって情熱の総量を高めていかないと、世の中から好かれるブランドになるはずもないのです。
逆に言うと、お客さまというのは一緒にブランドに情熱を傾けてくださる存在ですから、もしも好きなブランドから裏切られた場合には、今度はマイナスの情熱が働いてしまいます。言い方としてはちょっと変ですが、情熱にはプラスもマイナスもあるのだということを、ブランドを育てていく際には知っておく必要があります。
2013年、ホテルやレストランなどの食材における、いわゆる“偽装問題”がクローズアップされました。一流と称されるホテルやレストランというのは、一流のシェフが一流の食材で料理を作っているはずだと消費者は考えているわけで、だからこそ高い料金を払ってでもお客さまは来ているのです。
それが、過当競争の中で少しでも多く集客し利益を上げるというところだけに目が行って、安い食材を高級食材に偽装するようなことがいつの間にか横行していた。仕入れる人も調理する人も、分かっていたはずなのです。企業の利益を上げることが目的化され、そこで働く人たちがブランドに対して強い情熱を傾けられなくなっていたのでしょう。結果として、そのブランドを愛していたお客さまの情熱を失うことになってしまったのです。
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