連載
ホンダNSX 技術者の本気と経営の空回り:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/6 ページ)
ホンダが高級スポーツカー「NSX」の国内受注を約10年ぶりに始めた。新型の細部に目をやると同社技術者の本気度合いが伝わってくる。その一方で、販売の無策ぶりが気になるところだ。
8月25日、長らく待たれていたホンダNSXが本邦でも発表された。既に受付は開始されていて、発売は2017年2月27日から、価格は2370万円とアナウンスされた。
発表会場の東京ビッグサイトでは、取材陣を仮設スタンドのひな壇に上げ、ド派手なレーザー光線とスモークのステージに、6台のNSXが自走して入ってくると、最後の一台からホンダの八郷隆弘社長が降り立つという演出が成された。ホンダの力の入り具合が見て取れる。
「Hondaの根底に、昔もいまも脈々と息づくもの。それは常に高い目標に向かって情熱を注ぐ、技術的な探究心である。沸き立つスポーツマインドと、その結晶たる初代NSXをここに」
ホンダがこの日、プレスに配布した資料に書かれている言葉だ。初代NSXの話ではあるが、それは良くも悪くも変わっていなかった。新型NSXに投入された技術の数々、そしてその実現のためのエンジニアリングは瞠目(どうもく)すべきものだと思う。それはそうなのだが……。
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