ココイチが急速に“マンガ喫茶化”しているワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/3 ページ)
カレー専門店の圧倒的シェアを誇り、独走を続けるCoCo壱番屋(ココイチ)。近年、そんなココイチが急速に“マンガ喫茶化”しているのをご存じだろうか……。
アイドルタイムの集客のために“原点回帰”
ココイチが念頭に置いたのは、ランチとディナーの間のアイドルタイムの集客である。午後の3時〜5時くらいまでの顧客が途切れる時間帯に、喫茶店ように使ってもらえないかと思案を巡らせた結果、出てきた答えなのだ。コーヒーを1杯だけ飲んで、マンガを読んでゆっくりしていってもらうのも歓迎だという。
考えてみればココイチの発祥は、創業者の宗次徳二・直美夫妻が1974年、名古屋市内に開業した喫茶「バッカス」、翌年その近所にオープンした2号店「浮野亭」で提供していたカレーライスが評判となったのをきっかけにカレーライス専門店へとシフトしたものだ。つまり、もともとは喫茶店であり、愛知県清須市内の3号店「CoCo壱番屋 西枇杷島店」から、今日のココイチの歴史が始まっている。
また、マンガ喫茶の発祥は1980年頃、名古屋で登場したとされており、名古屋では喫茶店が多く競争が激しいために、サービスの一環としてマンガを多く置きはじめる店が出てきたといわれている。といったことから、ココイチのマンガ喫茶化は、発祥である喫茶回帰とも見える。
これは名古屋発祥の郊外型喫茶「コメダ珈琲店」が人気を博してきた、マーケットの変化をとらえた施策でもあるだろう。コメダ珈琲店ではマンガの棚はないものの、暇をつぶすための新聞や雑誌が数多く置いてある。
ココイチの顧客もマンガがあることで、同様の効果を生んでいる。なぜ、コメダが新聞・雑誌で、ココイチがマンガなのかというと、コメダの顧客が高齢者中心なのに対して、ココイチの顧客層はもっと若いことに起因するだろう。ココイチの店に行くと、マンガを読みながらカレーを食べていたり、コーヒーを飲んでいる人が多いことに気付く。テイクアウトの人も、マンガを読みながら出来上がるのを待っている。
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