“王者”セブン-イレブンが合併を必要としないワケ:コンビニ探偵! 調査報告書(4/4 ページ)
飽和状態となったコンビニ業界は再編の時代を迎えた。大手コンビニの合併・出店争いの話題が絶えないが、セブン-イレブンの合併に関する話はほとんど聞かない。合併しなくてもセブンが1位であり続ける理由について考えてみよう。
担当者は責任をとって独立するケースも
年度末オープンを目指して、準備を進めていたものの
、オーナーが決まらないことも珍しくない。建物は完成しているのに、いつまで経っても開店しない店を見たことがある人もいるだろう。そのまま放置していると、本部は家賃を支払い続けなければいけない。そんな状態が続いていると、やがて上層部の堪忍袋の緒が切れてしまう。
店のオープンを決めた担当者を呼び出して、「どうなっているんだ!?」「いつオープンするんだ!?」と詰め寄ることに。
最初のころは「はあ……」「来月には必ず」と言っていた担当者も、やがて逃げ場を失ってしまう。そのとき、どんな行動に出るのか。その担当者は責任をとって、自ら独立するケースもあるのだ。
そんなブラックな職場なので、新規店の担当になりたい社員はほとんどいない。担当を決める会議では、誰もが下を向いて時間が過ぎるのをただひたすら祈っているのだ。「自分が担当になりませんように」「隣に座っている奴がなりますように」と。
話がややそれてしまった。ファミマはサークルKサンクスと合併したことで、東京都の店舗数が1番になる(※2016年7月末の店舗数でセブンが2426店、ファミマ+サークルKサンクスが2614店からの推定)。それでもセブンに慌てた様子が見られないのは、混戦極まる東京都においても2015年8月から2016年7月までの1年間で103店舗増えているからだ。ちなみにファミマはプラス30店、ローソンはプラス38店だ。
セブンとファミマ+サークルKサンクスの店舗数(2016年7月末)を見ると、188店の差がある。このまま、出店ペースが今と変わらなければ、数年後にはセブンが東京都のトップに再び返り咲くことになる。
セブンが他社の合併・提携に目もくれないのは、少々無謀な戦略でも自分たちのドミナント戦略に自信を持ち、それを着実に実行してきた実績にほかならない。
著者プロフィール・川乃もりや:
元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿」
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