「106万の壁」と「国民年金の第3号被保険者の廃止」は無関係ではない:マネーの達人(2/4 ページ)
平成28年10月1日から、パートやアルバイトなどの短時間労働者でも一定の条件を満たす人は健康保険や厚生年金保険などの社会保険に加入しなくてはなりません。今回は、俗に言う「106万の壁」と「国民年金の第3号被保険者の廃止」の関係について説明します。
厚生労働省から示された第3号被保険者の改革案
第3号被保険者の縮小や廃止について本格的な議論が始まったのは、平成12年7月に厚生労働省に設置された「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」からだと思います。
厚生労働省は、ここで行われた議論を基に第3号被保険者に関する次の4つの改革案を示し、この改革案について、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会の年金部会で引き続き議論が行われました。
1. 年金権分割案
従来通り、第2号被保険者が保険料を納付するので、第3号被保険者は保険料を納付する義務はないという案です。
ただ、年金権分割案を採用した場合、第2号被保険者が納付した保険料の半分は第3号被保険者が納付したと見なします。そのため、実質的な負担は増えませんが第3号被保険者に新たな負担を課したことになります。
また、年金権分割案を採用した場合、第3号被保険者は保険料の半分を納付したことになるので、原則65歳になると、老齢基礎年金だけではなく老齢厚生年金も受給できるようになります。
2. 負担調整案
第3号被保険者に対し、基礎年金(例えば老齢基礎年金)という受益に応じて、何らかの保険料の負担を求める案です。
3. 給付調整案
第3号被保険者を国民年金の保険料の免除者と同様の取扱いとし、保険料の負担を求めない代わりに、基礎年金(例えば老齢基礎年金)を減額する案です。
4. 第3号被保険者縮小案
一定数の第3号被保険者が実在していることを踏まえ、当面はその制度を維持しつつ、その対象者を縮小していく案です。
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