怖がりでも大丈夫、後味の良いホラー小説のススメ:内田恭子の「いつもそばに本があった」(1/3 ページ)
幼いころからオバケが出てくる怪談が大の苦手だという内田恭子さん。そんな怖がりの内田さんでも安心して読めるホラー小説とは……?
内田恭子の「いつもそばに本があった」:
幼いころ両親に読んでもらった絵本、学生時代に読みあさった小説、アナウンサーの就職面接で朗読したバイブル的な一冊、そして今度は自分が親となり子どもたちに本を読み聞かせている――。これまでの人生を振り返ってみると、常に私の傍らには本がありました。
この連載では、日常生活の中で出会った数多くの本たちをエピソードなどとともに、ビジネスパーソンの皆さんにご紹介していきます。連載バックナンバーはこちら。
この数週間で一気に秋めいてきた。朝晩だけでなく昼間でもひんやりする日が続いている。皆さんは風邪などひいていないでしょうか。
それにしても今年の夏は、猛暑という言葉では足りないくらい毎日暑かった。こうも暑いときにはやはり冷たいものと、ゾクッとする怪談話に惹かれてしまう。……と、至極当たり前のように言っているけれど、私は大の怖がりである。
小さいころから誰かが怖い話をし始めると、耳をぴったりと手でふさいだ。それでも聞こえ漏れてくるから、話の間中ずっと小さい声で「あーあー」と言い続ける。小学校のときの先生がよく怖い話をする人で、本当に迷惑だった。少しでも話が耳に入ってしまうともうアウト。その日の夜どころか、2、3日は恐怖に怯え続ける。「寝ている間に足を誰かに引っ張られたらどうしよう?」「顔を撫でられたらどうしよう?」と全身汗だくになりながらも、ブランケットを頭から足先まですっぽり覆って寝ることになる。暑いし、怖いし、本当に嫌だった。
そのビビリ症は大人になっても変わらない。どうせオバケなんて見えないのだから怖がる必要はないじゃないと、もっともな意見を言われるけれど、怖いものは怖いんだから仕方がない。
フジテレビのアナウンサー時代、一度だけ仕事でどうしても怖い話を聞かなければならない羽目になった。本番中だから耳をふさぐわけにもいかない。恐怖にじっと耐え、何とか収録は終わった。そこからがさあ大変。番組を収録していた新宿のスタジオから本社のあるお台場まで、真昼間にもかかわらず一人で帰れなくなってしまったのだ。泣く泣くスタッフにすがりついて、一緒にお台場までお供してもらうという、非常に大人気ないことをしたものだった。
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