なぜ自動運転はタクシー・バスと相性抜群なのか(4/5 ページ)
自動運転技術――。その実用化は公共交通機関で加速すると言われており、既に世界各地でその予兆が見えはじめている。世界初の自動運転タクシーサービスを開始した米国のベンチャー企業nuTonomy(ヌートノミー)、自動運転小型バス「ARMA」を公道で走らせるBestMile(ベストマイル)の取り組みなど、最新の事例を交えながら解説しよう。
ドライバー不足の日本では必須の技術
もう一つ、自動運転がタクシーやバスに向いている、重要な理由がある。人件費を抑えられることだ。
国土交通省の資料によれば、我が国のバス会社の経費の半分以上は人件費であり、タクシー会社では約7割に達する。その多くがドライバーにかかる費用だ。運転という特殊技術を用いた仕事なのだから、相応の給料は支払うべきであると筆者も考える。
しかし、レベル3の自動運転が実用化され、ドライバーがオペレーターになれば、そこまでの待遇は不要かもしれないし、完全自動になれば、ドライバーの人件費そのものがゼロになる。
しかも日本では、タクシーやバスのドライバー不足が深刻であり、この問題の解決にも自動運転はふさわしい。一方、地方の過疎地域の移動は現状ではとても採算が合わず、自治体が税金を投入してなんとか走らせている事例がほとんどであるが、ドライバーの人件費が不要となる自動運転なら、安定した運行が可能になるかもしれない。
自家用車の自動運転化も、ドライバーに安全快適をもたらすという魅力はある。しかしタクシーやバスのコストメリットは、事業者と利用者の両方に効くわけで、それ以上の恩恵と言えるだろう。
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