カラオケ市場が再び成長中、それでもシダックスは2期連続の最終赤字に(1/2 ページ)
今週半ば、カラオケチェーン大手のシダックスが業績予想の下方修正を発表。17年3月期通期は33億円の赤字になる見通しだ。これで最終赤字は2期連続。店舗を大量閉鎖するなど収益改善に躍起になっているが……。
カラオケチェーン大手のシダックスが業績悪化にあえいでいる。11月2日に2017年3月期通期の業績予想を下方修正すると発表。最終利益は1億円の黒字を見込んでいたが、一転して33億円の赤字に。前期(2016年3月期)も71億2000万円の赤字を計上しており、これで2期連続の最終赤字になりそうだ。
不振の原因は、主力のレストランカラオケ事業だ。2012年3月期通期の決算は売上高481億4600万円、利益24億3000万円だったのが、2016年3月期の売上高は307億1700万円に大幅減、利益に至っては21億4400万円の赤字に転落した。
個人消費の冷え込みや競合他社との低価格競争の激化に加えて、シダックス特有の問題もある。「レストランカラオケ」と銘打つように、同社はカラオケで提供する飲食メニューにも力を入れているため、その原価率や人件費、店舗運営経費などがほかと比べて割高になりがちなのである。
事業の立て直しを急ぐ同社では、今年春から不採算店舗の閉鎖を続けている。旗艦店の「渋谷シダックスビレッジクラブ」をはじめ、10月末までに約80店舗を閉店するという“大手術”を行った。これにより全店舗数は190店前後に。一方で、第一興商が運営する「ビッグエコー」やコシダカの「まねきねこ」などは400店を超えており、店舗数だけで見れば、競合と大きく水をあけられた格好となる。
「シダックスの低迷は、そもそもカラオケ市場全体が落ち込んでいるからでは?」と思う読者もいるかもしれない。確かに、カラオケボックス市場は1996年度の約6620億円をピークに、一時はほぼ半分の規模となった。しかし実はここ数年、同市場は再び拡大傾向にある。全国カラオケ事業者協会(JKA)の調べによると、2010年度の約3790億円から2015年度には約3994億円に成長しているのだ。
実際、各社の直近売上高を見ても、第一興商のカラオケ・飲食店舗事業は前年同期比7.7%増の567億5900万円(2016年3月期通期)、コシダカホールディングスのカラオケ事業は同16.2%増の276億4300万円(2016年8月期通期)と伸びている。
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