通称“海のF1レース”、ついに日本初開催のアメリカズカップとは何か?:日本チームも久々に挑戦(3/5 ページ)
1851年から続く世界最古の国際ヨットレース「アメリカズカップ」が、長い歴史の中で初めてアジアで開催された。予選レース「ワールドシリーズ」の最終戦となった福岡大会のレポートとともに、同カップが“海のF1”と呼ばれるゆえんなどを伝える。
空飛ぶヨット
海のF1と称されるように、近年、ヨットの高速化が進んでいる。アメリカズカップではヨットの規格を統一していて、今回のワールドシリーズでは「AC45F」というカタマラン艇を各チームが使用した。ACはアメリカズカップ、45は全長45フィート(13.45メートル)、Fはフォイリング(翼走)を指す。また、ワールドシリーズ以外のレースでは、各チームがルールの範囲内で独自開発した15メートルのヨットを用いて、さらに高いパフォーマンスが出るように設計しているのだ。
このACクラスのヨットの最大の特徴は、水中に突き出す板状のダガーボードにフォイル(水中翼)があるため、このフォイルによって艇体を水面から浮かせて走らせることができる点である。まるでヨットが空中を飛んでいるような状態になり、強い風が吹けば40ノット(時速74キロメートル)を超えるスピードにまで到達するそうだ。オラクル・チーム・USAでセコンドを務めるグラント・シマーCOOによると、既に50ノット(92.6キロ)近くまでスピードが出る高速艇の開発が進んでいるのだという。
そうしたハイパフォーマンスなヨットの開発に向けて、例えば、オラクル・チーム・USAやソフトバンク・チーム・ジャパンでは、航空機メーカー大手のエアバスと技術提携し、航空力学やシミュレーション、複合材などのノウハウを取り込んでいる。もはやアメリカズカップで走るヨットは、単なるマリンスポーツという域を超え、世界中のあらゆる産業が持つ知識や技術を結集したマシンになっているのだ。
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