映画『デスノート』脚本家 今だから語る秘話:前作との違いは(3/5 ページ)
最新映画『デスノート Light up the NEW World』が注目されている。作品の中で、脚本家の真野勝成氏はどのような点にこだわったのか。普段あまりメディアで語ることのない真野氏が、本作について脚本家目線で語ってくれた。
前作との違い
山田: そこで今回、名前を書けば人を殺害できるデスノートが、6冊も登場することになるのですね(原作の『DEATH NOTE』では登場するノートは3冊のみ)。
真野: ジャンプコミックスから出ている「デスノート」の13巻にはデスノートのルールが全て収録されていまして、中には原作では使われていないですが、とても興味深いルールがありました。そのひとつが6冊ルールで、死神が人間界に持ち込めるデスノートは6冊までであり、7冊目以降は効力を持たないというものでした。
6冊を然るべき人間が管理すればデスノートを封印することができる。最初に書いた数枚のプロットの時点で、そのアイデアはありました。プロデューサーの佐藤貴博さんもデスノートのルールには精通しており、あえてルールの制約を利用しながら、ストーリーをつくっていく作業はヲタ冥利につきました(笑)。
映画では描かれなかったアイデアもたくさんあるのですが、いつか別の機会に披露できれば嬉しいです。
山田: 映画版の前作『DEATH NOTE』2部作との一番の違いはどんなところですか。
真野: 前作との違いのひとつは目線です。前作は主人公・夜神月自身がデスノートの使用者であり、その正体に迫るLと頭脳戦を繰り広げるというものでした。今回は刑事・三島が真相・犯人に迫っていくというオーソドックスな刑事モノのスタイルになっています。これは前作と同じことはできないということと、原作というガイドラインがない状態でストーリーを展開するには一番見やすいのではないかと思ったからです。
今回の登場人物である三島、竜崎、紫苑は映画のオリジナルキャラクターです。彼らは一度も漫画として描かれたことがありません。脚本ではト書き(演出を説明する文章)とセリフでしか表現されていない人物像を、佐藤信介監督と東出昌弘さん、池松壮亮さん、菅田将暉さん、美術さん、衣装さんや他のスタッフの方々が生身の人物としてつくり上げたものです。
山田: 脚本から先の描写や空気感などは、撮影現場に受け継がれて“具現化”していくのですか?
真野: 脚本家は脚本を書き終わってしまえば、現場での撮影に関わることはありません。だから、撮影の大変さには無頓着な部分があるのですが、今回は皆さん、相当なプレッシャーだろうなと思っていました。
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