映画『デスノート』脚本家 今だから語る秘話:前作との違いは(4/5 ページ)
最新映画『デスノート Light up the NEW World』が注目されている。作品の中で、脚本家の真野勝成氏はどのような点にこだわったのか。普段あまりメディアで語ることのない真野氏が、本作について脚本家目線で語ってくれた。
IT技術の普及も描く
山田: 映画では、現代を切り取って、サイバーテロリストが登場しています。原作が書かれた時点ではサイバーテロは今ほど問題になってなかったと思うのですが、そういう時を超えてもともとある作品に、時代に合わせてストーリーを新しく生み出すことをどう考えていますか?
真野: 10年前との社会情勢の違いは意識しました。ひとつはインターネットの普及。それからテロルが日本人にとっても身近になったことです。今、ネット上に顔と名前を晒(さら)している人はたくさんいますね。これはデスノートのある世界では致命的な行為です。それからデスノートは直接手を下さずに人を殺せるアイテムですが、サイバーテロも直接手をくださないという意味で親和性があると考えました。だからキラ(デスノートを使って人を殺める殺人者の通称)に憧れた紫苑はサイバーテロリストになったという設定になっています。
山田: 前作の主人公である夜神月は、犯罪のない世の中を作るためにデスノートを使っていました。ユートピアを目指す活動家であると見ることもできました。
真野: 紫苑というキャラクターは、単なる悪役ではなく、キラ同様に自分の正義のために国家とサイバー戦を行っている。「アノニマス」みたいなイメージです。
山田: 「アノニマス」というのは、匿名という英単語「Anonymous(アノニマス)」と名乗っている国際的なハッカー集団のことですね。活動家という意味の「Activist(アクティビスト)」と「Hacking(ハッキング)」をもじって、「Hacktivist(ハクティビスト)」とも呼ばれている人たちの寄せ集めです。
真野: はい。世相的なもので言うと、スピンオフ『デスノート NEW GENERATION』ではSNSでの悪口の言い合いが高じて、デスノートで相手を殺すという犯行も描かれています。脚本家の中には「携帯電話を描かない」というくらいITと無縁の世界観を描く方もいますが、IT技術の普及が人の心にまで影響を及ぼしている現実があるので、そこは僕としては反映したいと思っています。
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