全自動衣類たたみ機が創り出す、未来の姿:日本発のイノベーション(3/3 ページ)
洗濯物をたたんでくれるロボットがあれば……。2017年、その願いを実現する製品「ランドロイド」の販売がいよいよ始まる。開発したセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズによると、ランドロイドは私たちの暮らしだけでなく、日本のモノづくり産業を変える可能性も秘めている。
製品版の完成を足掛かりに、「ランドロイド・ライフ」実現に向けた開発をさらに加速させる。17年末に家庭向けを想定したランドロイド・ワンの出荷を開始し、18年には介護施設や病院向けのモデルを投入する。19年には洗濯乾燥機との一体型モデルを発表する計画だ。さらに20年には、住宅に埋め込む形で設置する「ホームビルトイン」タイプの発表を目指す。住宅と一体化させることで、洗濯・乾燥・たたむ工程を終えた衣類を各部屋に届けるところまで自動化するという。パナソニック、大和ハウス工業との共同開発により、実現を目指している。
阪根社長は「時間はかかるが、当たり前のように家にある電化製品にしたい」と期待を込める。量産し、購入を検討できる水準まで価格を下げることが次の課題となる。
日本のモノづくりを世界へ
ランドロイドの技術が変えるのは、日々の生活だけではない。阪根社長は、ランドロイドが日本の技術力を再び結集し、世界に発信するきっかけとなる未来を思い描く。
ランドロイドの開発には、さまざまな分野の技術が応用されているため、幅広い知見が必要だ。そのため、すでに数十社の企業が関わっている。今後もパートナー企業と協力して新たな知見を生み出していけば、ランドロイドを起点とした新しい市場を創り出すことも可能だという。
例えば、ランドロイドの通信・学習機能を生かし、昨年着ていた服のコーディネートや服の着用頻度などを知らせるサービスを始められるかもしれないという。アパレルメーカーや服のシェアリングサービス事業者などとコラボレーションすれば、さらに充実した情報サービスを提供できる可能性もある。
「普及すれば、産業として成長していける。かつての家電のように、日本から発信するイノベーションで世界を席巻したい」(阪根社長)。
高いハードルを1つずつ越え、世界を驚かす準備を整えた。2017年は今の生活や産業を変えるきっかけとなる、飛躍の年になりそうだ。
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